さらに、「月の南極に存在する最大20°にも達する急斜面は、着陸船の航行や着陸において大きな課題となる」
軌道中のオリオン宇宙船(Orion capsule)から南極地域へと宇宙飛行士を輸送するために、NASAはSpaceXと40億ドル(約6550億円)以上の契約を結び、同社の再使用型ロケット「スターシップ(Starship)」がこの行程を担うことになった。
より小型の着陸船「ブルームーン(Blue Moon)」を持つBlue Originには、宇宙飛行士を月の南極へ輸送するために31億ドル(約5070億円)が支払われる予定だ。
新たな月面競争に挑むこの2大企業は、それぞれまず、無人での月面着陸を実証し、危険な月の地形を航行して直立した状態で着陸できることを示さなければならない。
「スターシップの高さは171フィート(約52.1m)で、14階建ての商業ビルに相当するため、着陸後も慣性が働いて転倒するリスクがある」と監察官らは警告する。
「高さ53フィート(約16.2m)のブルームーンもまた、着陸上のリスクに直面している。これには、乗組員の重要な業務を安全かつ確実に実行するための着陸船の許容傾斜度を超えてしまう危険性などが含まれる」
これに対し、月面競争の第1幕で投入された「アポロ月着陸船(Apollo landers)」の高さは23フィート(約7.01m)で、はるかに安定しており、より穏やかな月面に着陸した、と監察官らは付け加える。
「壊滅的な危険の特定と、乗組員の生存可能性における課題の特定は極めて重要である」と監察官らは指摘した。「今後のアルテミス計画において、着陸船が乗組員の生命を脅かす最大の要因になっているからだ」
ハーレーによれば、現在の契約下でNASAがBlue OriginとSpaceXに求めている実証試験は、着陸して再び離陸するだけの簡易的な段階にとどまっており、月面での電力システムや生命維持装置の運用テストは含まれていないという。
包括的な救助体制を強化するためにNASAはこれらの契約を改定すべきだ、とハーレーは語る。そして、実証着陸船に十分な酸素と水、食料、電力、月・地球間の通信機器を装備し、これらすべてのシステムを月面でテストするよう両社に義務付けるべきだ、と主張している。
「実証用スターシップを継続的な避難所にするためには、NASAはその目的に沿って実証ミッションを再設計しなければならない。機体を意図的に月面に残し、必要な乗組員用システムと消耗品を整備した上で、遠隔で維持管理し、その後のミッションで到達可能な距離に着陸できるよう手配する必要がある」


