テクノロジーの普及、観光資源としての再評価に伴い、「プロスポーツ」の価値が高まるなか、北の地で異色のビジネスモデルを確立しようとするパイオニアがいる。
「野球に興味がない人にこそ、来てほしい」
札幌駅から新千歳空港行きの快速電車に揺られておよそ17分、北広島駅の改札口を出て頭上を見上げると、印象的なコピーが目に飛び込んでくる。
ここ北広島市は、プロ野球チーム、北海道日本ハムファイターズの本拠地「エスコンフィールドHOKKAIDO」がある街だ。本来なら「野球に興味がある人にこそ、来てほしい」はず。そんな常識を覆すこのコピーにこそ、ファイターズが進めるボールパーク事業の本質がよく表れている。
「昨年は、約460万人もお客様が来てくれました。この段階でここまで上がるとは、正直思っていませんでした」
そう想定外の喜びを語るのは、ボールパーク事業の立役者で、球場と周辺エリア「Fビレッジ」の運営を担うファイターズ スポーツ&エンターテイメント(以下、FSE)代表取締役社長の前沢 賢だ。
エスコンフィールドは日本初の開閉式屋根付き天然芝球場として2023年3月に開業。Fビレッジの来場者数は23年が346万人(3~12月)、24年は418万人、昨年は459万人と顕著な増加を続けており、北海道全体への経済効果は年間1,000億円以上、北広島市への経済直接効果は年間500億円超にのぼると試算されている(三菱UFJリサーチ&コンサルティング社が24年2月に発表)。
札幌ドームのような“借り家”ではない自前の球場だからこそ得られる広告収入やグッズ・飲食などの収入も大きく伸び、25年12月期のFSEの売上高は約277億円、営業利益は約71億円を記録。近年機運が高まる日本のスポーツ投資を代表する成功例として大きな注目を集めている。
人気を支えるのは、「試合がない日でも人を呼ぶボールパーク」という発想だ。場内には、フィールドが一望できる天然温泉とサウナ(いずれも球場内施設としては世界初)、ホテル、本格的なキッズエリア、バラエティに富んだ飲食店など多彩な施設があり、野球観戦以外を目的に訪れる人も少なくない。



