経営・戦略

2026.08.22 10:30

元Number編集長が聞く日本ハム「Fビレッジ」急成長の理由「現状維持こそリスク」

敷地面積約32ヘクタールを誇る「北海道ボールパークFビレッジ」の俯瞰図。球場を「城」、周辺エリアを「城下町」に見立てた広大な街づくりが今も進化を続けている。(C)H.N.F.

キーワードは「共同創造空間」

 ボールパーク事業を貫くキーワードが「共同創造空間」だ。

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前沢は、その発想の原点をこう説明する。

「ビジネスはスポーツと違って、9人とか11人で戦わないといけないというルールはないですよね。だったら、できるだけ味方や仲間が多くいるほうが、勝つ確率は高くなるということです」

Fビレッジは、企業や自治体、地域住民が価値をもち寄り、一緒に街を創っていく空間なのだという。

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「我々はFビレッジのプラットフォーマーなんです。事業パートナーと我々がお互い話し合ってバリューを出し合っていく。『我々に何をしてくれるんですか』ではなく、『あなたはこのエリアにどんな価値を生み出してくれますか』という議論なんです」

その考え方は企業だけに向けられたものではない。例えば花壇づくりを担う市民ボランティアも、彼らにとっては「共同創造」のパートナーである。

実は、筆者の古巣であるスポーツ総合雑誌「Number」もその一員だった。前述した「TOWER 11」のホテルには「Number」の表紙をモチーフにデザインされた部屋が2室ある。「Number」とのコラボレーションを提案したのは前沢自身だった。

「中学・高校生ぐらいに『Number』を見て、こんな雑誌があるのかという衝撃を受けましたからね。何か一緒にできないかとずっと思っていました」

エスコンフィールドに直結する新駅の28年開業を見据え、Fビレッジは次のフェーズに入ろうとしている。同年の大きな動きとしては、北海道医療大学の移転も決まっている。

「学校、職場、病院、この3つのうち何個かに入ってもらいたいとずっと思っていました。そのうち、まず学校が来てくれるというのはとても大きいです。今まではどちらかというと観光の側面が大きかったのですが、そこに日常的な機能が加わってくる。そういうハイブリッドを進めていくイメージです」

投資のフェーズも変わった。これまで球場外への投資は、外部資本に委ねる場面が多かった。それが今、FSE自身が投資できる体力をもつようになった。不動産投資、会社への出資、JVの設立ー「収益は将来に向けて投資するための原資」という方針を、球場の外にも広げていく段階に入っている。

KEYWORD|共同創造空間
Fビレッジでは、運営母体であるファイターズ スポーツ&エンターテイメント(FSE)が、企業や自治体、地域住民らと共に街を創り上げている。前澤 賢社長は、自社の役割を「プラットフォーマー」と表現する。筆者も文藝春秋のスポーツ誌「Number」の編集長時代に、球場内ホテルの一部客室の内装デザインでFSEとコラボレーションした(写真)。

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文=宇賀康之 写真=能仁広之

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