「すげえ、面白え、エスコン!」
そんな弾んだ声が聞こえてきたのは、レフト後方のタワー型施設「TOWER 11」(温泉やホテルもここに入っている)内にある、乗馬・競馬シミュレーター付近。筆者が取材に訪れたこの日の試合前も、野球好きの心を躍らせる開放的なスタジアム内を、大勢のファンが笑顔で歩き回っていた。
今年3月、満を持してFSEの社長になった前沢が、就任祝いへの礼状に記した文言が振るっていた。
《今後、目指す会社の姿は、「社会・業界・地域における不条理を打破し、新たなモデルへ果敢に挑戦する企業」でございます。》
《不条理を打破》とは挑戦的な言葉だが、前沢はこれまでの人生でも、「理」を武器に、摩擦を厭わない行動や言葉で、数々の「不条理」と闘ってきた。
「不条理はきちんと直していきましょう。そういうメッセージをしっかり発信できる会社であるべきだし、北海道にひとつぐらい、そんなことを公言する会社があってもいいんじゃないかと。我々が北海道の人たちに拾ってもらって、ここまで二十数年やってこられた。じゃあいったい何を還元できるのか。税金を納めることも大事だと思います。ただ、それに加えて社会の不条理に果敢に挑戦していくほうが、価値として高い。自分の言葉すぎるかとは思いましたが、あえてそう書きました」
今では「大成功」と称えられる新球場建設にも、構想段階では経済界から「できるわけがない」という冷ややかな視線が浴びせられていた。前沢は、「結局、お化けみたいなものなんです」と言う。

前沢 賢◎ファイターズ スポーツ&エンターテイメント(FSE)代表取締役社長。1974年生まれ。パソナ、J・坂崎マーケティング、北海道日本ハムファイターズ、パシフィックリーグマーケティング、横浜DeNAベイスターズ取締役事業本部長などを経て、2015年に北海道日本ハムファイターズへ復職。FSEでは取締役事業統括本部長としてボールパーク構想を推進してきた。26年3月より現職。


