2026.07.30 07:15

京都で外国人観光客の迷惑行動が相次ぐ本当の理由と空間デザインの課題

プレスリリースより

プレスリリースより

オーバーツーリズムによる問題が各地で発生しているが、とくにその象徴とも言える京都において、外国人観光客の「迷惑行動」を観察したところ、悪意あるマナー違反は別として、迷惑行動が誘発される3つの空間的条件が明らかになった。

空間の利用実態に基づく分析およびコンサルティング業務などを展開するアクティブ・オブザベーション(OAO)は、京都駅、清水周辺、高瀬川周辺において、観光客と地域利用者の行動観察フィールドワークを実施し、観光客の迷惑行為を単にマナー違反として切り捨てるのではなく、そうした行動を引き出す空間的な問題はないかを探った。その結果、次の3つのメカニズムを発見した。

1. 占有半径の大きい人が立ち止まると、人の流れは連鎖的に止まる。
2. 人は椅子があるから座るのではなく、「身体を置きやすい場所」を探して座る。
3. 公的・私的・商業・宗教空間の境界が読み取りにくく、越境行動が発生する。

占有半径の大きい人の立ち止まり


占有半径の大きい人とは、スーツケースやベビーカーを伴い広い面積を占有する人のことだ。とくに京都駅では、案内板、改札前、券売機、店舗前、バス停など「観光客が立ち止まる理由を持つ場所」が、交通量の多い動線上に重なっている。そこに占有半径の大きな人が立ち止まると、後続の人が連鎖的に立ち止まり、渋滞となる。

人が立ち止まる理由がある場所を動線から外れた場所に設けることで、解消できる可能性がある。

ベンチ以外での座り込み


清水、高瀬川周辺では、ベンチ以外の場所に座る人たちが見られた。よく選ばれていたのは、背中を預けられる、日陰がある、少し高低差がある、人の視線を避けられる、荷物を近くに置ける、などの場所だ。それが地域住民の生活や通行の邪魔になると、迷惑行為と受け止められる。

そこで、観光客が短時間休める、荷物を整理できる場所などを、周囲への影響が低い場所に設けること、さらに、座っていい場所といけない場所が自然にわかるような空間デザインが望まれる。

越境行動


個人宅、店舗、寺社、生活道路などが混在する京都では、観光客にはその境界がわかりづらい。そのため、私的空間、公共空間、宗教空間などの境界を越えてしまうことが多い。

禁止看板を増やすだけでは景観や観光体験を損なうため、床材、段差、置き石、植栽、照明、視線の向きなどによる領域の切り替わりを身体的に伝える工夫が求められる。

この調査から、観光客の迷惑行為は、単に個人のマナーの問題ではなく、そうした行動を誘発する空間的な条件にも原因があることがわかった。そこでOAOは、人が立ち止まる場所と、立ち止まりの周囲への影響の把握、望ましい行動の受け皿作り、景観を損なわずに境界を伝える工夫の3点を提案している。

OAO代表の西倉美祝氏は、「もちろん、喫煙、ポイ捨て、立入禁止区域への侵入、危険な車道へのはみ出しなど、明確に抑制すべき行動はあります」としながらも、「行動の発生条件がわかれば、注意喚起だけでなく、空間のしつらえや動線設計によって、望ましい行動へ自然に導くことができます」と話す。

無粋な禁止看板を増やすことなく、観光客の観光体験と地元住民の生活を守る優れた空間デザイン力が求められる。

出典:アクティブ・オブザベーション 【調査リリース】観光客は本当に“迷惑”なのか? 京都フィールドワークで見えた、まちと人のすれ違い

文 = 金井哲夫

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