プライベート市場は再調整の局面にある。フランクリン・テンプルトンは、この分野が「2022年以降の流動性リセット局面へ」移行していると述べた。一方、S&Pグローバルは、プライベート市場の運用資産残高が2024年におよそ15兆ドル(約2460兆円)にまで拡大したと指摘しつつも、依然として「限定的なアクセス性、低い流動性、透明性の欠如、高い手数料と最低投資額」がトレードオフを規定していると述べている。
この背景が重要なのは、女性の参加が後退していないからだ。むしろ、より意図的なものへと変化している。女性はすでに米国の家計金融資産のうち10兆ドル(約1640兆円)以上を管理しており、2030年までには「ベビーブーマー世代が保有する30兆ドル(約4910兆円)の金融資産の多くを支配することが予想されている」とマッキンゼーは指摘している。
これは構造的な変化を示している。いま問われているのは、女性が資本を保有しているかどうかではない。女性がそれをどう投じることを選ぶのか、価値観がその選択をどう導くのか、そして参加を大規模にどう支えられるのかである。
女性は投資に前向きだが、障壁がないわけではない
フィデリティ・インベストメンツの2025年「Women & Money Study」によれば、約3人に2人の女性が自身の財務目標達成のための計画を持ち、多くの女性が長期的な安全性を優先している。ウェルズ・ファーゴの2025年2月の調査報告では、女性の71%が株式市場に投資しており、Z世代とミレニアル世代の女性はさらに高い割合で投資を行っている。
富裕層の女性138人を対象に調査したブルックフィールドのAlts Instituteによれば、回答者の44%が現在オルタナティブ投資を行っており、89%が長期投資に注力し、94%がポートフォリオリスク管理には分散投資が不可欠だと考えている。
当社の2026年「Women, Wealth & the Capital Continuum」レポートでは、315人の女性投資家を対象に調査を行ったところ、回答者の約90%がすでにプライベート市場で少なくとも1件の投資を経験していた。また、67%が今年ベンチャーファンドに2万5000ドル(約410万円)から4万9000ドル(約803万円)を投資する予定であるとも判明した。27%はプライベート投資を1、2件しか行っていないと回答した。
それでもなお、参加への障壁は残っている。当社調査の回答者の44%は、ベンチャー投資に関する明確な計画を持たず、さらに学びたいと述べた。プライベート市場での意思決定に「非常に自信がある」または「極めて自信がある」と答えたのはわずか19%で、63%は助言を求めるか、アドバイザーに完全に依存していた。
私の経験から言えば、障壁となっているのは「確信のなさ」ではなく、「進むべき道(ナビゲーション)」だ。プライベート市場は歴史的に、人間関係に基づくネットワーク、最低投資額の基準、そして不透明なプロセスによって運営されてきた。そうしたコミュニティに身を置いていない投資家にとって、そこへの参加は非公式で解読が難しく感じられる場合がある。投資への意欲は高まっていると私は考えるが、構造的な道筋はまだ均等には行き渡っていないのだ。
価値観に基づく視点は、未知の領域を進むための助けとなる
プライベート市場に参入できた女性の多くにとって、価値観はデューデリジェンスと切り離されるものではない。当社の調査によれば、女性の77%が価値観に基づく視点で投資しており、58%がジェンダーの視点で投資している。
価値観を重視した視点を取り入れることで、投資家は自身に専門性がある分野を見極め、顧客を理解し、事業への洞察を得ることができるため、なじみの薄い投資機会についても理解しやすくなる。
ある女性取締役の集まりで、上場企業の取締役が印象的な質問を投げかけた。「価値観に沿った投資は、市場が厳しい時期には贅沢なのだろうか」。もっともな問いだ。不確実性の高い時期には、投資家は測定可能で即時的なものに立ち返る傾向がある。価値観は基盤的なものというより付加的なもの、あるいはパフォーマンスの後に考えるべきものと誤解されがちである。
しかし私の考えでは、価値観に基づくアプローチは「生ぬるい投資」ではない。むしろ「より鋭い投資」なのだ。価値観を重視してプライベート市場にアプローチする投資家は、しばしば実利的な行動をとっている。すなわち、確信と需要が交差する領域、自らが顧客を理解している領域、そして課題を自らのこととして捉えられる領域を見極めているのだ。
その明快さが一貫性を支える。持続力とは、単に資本を供給することだけではない。市場サイクル全体を通じて関与し続けることである。なぜ投資するのかという理由を軸に据えている投資家は、市場が不安定になったり不確実性が高まったりした時期でも撤退しにくく、一時的な熱狂期が過ぎ去った後も自らのスタンスを維持する可能性が高いと私は考えている。
女性の参加を支援するためにリーダーができること
上記のデータは、複数の投資手段にまたがって活動する女性がいる一方で、初めてまたは2回目のプライベート市場への配分を行う女性もいるという、パイプラインが形成されつつあることを示している。同時に、多くの女性が資金の投じ先を意図的に選んでいるものの、参加への障壁は依然として残っている。
金融機関、アドバイザー、ファンドマネジャーにとって、いま取り組むべきは、より明確な教育、より直接的な道筋、そしてプライベート市場を「すでに内側にいる人たちだけのもの」と感じさせる障壁を減らすことによって、参加をよりアクセスしやすくすることだ。
ファンドマネジャーにとってこれは、女性の資本が受動的な資本ではないことを認識することも意味する。多くの女性投資家は、事業運営の専門性、取締役会経験、顧客インサイト、ネットワークを持ち込み、資金以上の形で企業を強化することができる。
そして女性投資家にとってのチャンスは、価値観も投資の厳格な基準の一部となりうると信じることだ。価値観は、投資家が顧客を理解している領域や、資本以上の価値をもたらせる領域を明らかにしてくれる。だからこそ、価値観に沿った資本は異なる振る舞いをすると私は考える。それは実体験、長期的な需要、個人的な信念に根ざしている。市場のタイミングに依存せず、深い理解に依拠するのだ。
最終的に、女性のプライベート市場への参加を大規模に拡大するには、アクセスがより構造化され、透明性が高まり、再現可能なものにならなければならない。目標は単に多くの女性を招き入れることではない。女性の資本、判断力、ネットワークが自信を持って動けるシステムを構築することなのだ。



