AIの好奇心とは何か
AIは言語を理解しているのか、との問いに答えるため研究を続けている沖縄科学大学(OIST)の研究グループは、AIを搭載した仮想ロボットに言語で命令を出し、言葉を覚えさせる実験を行った。そのとき、ロボットに好奇心を与えると、指示していない行動、つまり子どものように遊ぶ様子が見られ、その結果、通常の2倍の速度で言語を学習するようになった。豊富な言語環境に好奇心を組み合わせると、言語学習の時間が半分に短縮されることがわかったのだ。
OISTが用いたAIは、入力に対して統計的にもっとも確率の高い答えを生成するLLM(大規模言語モデル)とは異なる、予測符号化に着想を得た変分再帰型ニューラルネットワーク「PV-RNN」と呼ばれるもの。これは、「正確さ」(現実をどれだけ正しく理解しているか)を最大化し、「複雑さ」(何が起きたかに応じて内部の信念を変更する必要性)を最小化、つまり「一般化」して、予想のズレや不確実性を低減するように学習されている。
たとえば、小さな四角い黒い物体を見つけて、それがチョコレートの味だと学習すると、同じような別の物体を見たときにチョコレートだと予測する。実際にそうなら、小さな四角い黒い物体はチョコレートだという信念が崩されることなく、複雑さは小さいままでいられる。しかし、食べてみたらチョコレートではなくグミだった場合、信念を更新しなければならず、複雑さが高くなる。
研究グループは、そのように複雑さが高まったときに、内部報酬を得るように設定した。つまり、複雑さが高まる行為をするとポイントが与えられる。AIは、そのポイントを増やすのが「よいこと」だと教えられているので、複雑さを求めていろいろな行動をする。これがAIの「好奇心」のメカニズムだ。



