教えてもいない行動や処理を自ら習得
子どもはなぜ、限定的で不完全な言語情報から短期間のうちに文法や言葉の意味を理解できるのか、その説明が付かないことを、1980年、言語学者ノーム・チョムスキーは「刺激の貧困」として問題提起した。それは長年の謎であったが、今回の実験は、好奇心と多様な言語環境の組み合わせで説明できることを示唆している。
実験では、動詞と形容詞と目的語を多様に組み合わせてAIに体験させたが、それが48とおりの場合は、好奇心のあるロボットの一般化成功率は25パーセントだったのに対して、180とおりにした場合は85パーセントにまで上昇した。
さらにこのロボットは、幼児によく見られる「例外処理におけるU字型の学習曲線」をも再現していることがわかった。たとえば、英語の「走る」を意味する「run」の過去形は「ran」だが、AIは最初にこれを学習すると、正しく過去形で「走った」を表現できるようになる。しかし、その後学習が進み、過去形には「ed」を付けるという文法を習得し、その法則を一般化すると、それまで正しく言えていた「ran」を「runed」と言うようになってしまう。これを「過剰な一般化」という。
そのため、学習曲線は一時的に下落し、後に不規則動詞を覚えると、つまり例外への対処を学ぶと「ran」と言えるようになり、学習曲線が上昇する。そのため全体的に見ると、学習曲線はU字を描くことになるわけだ。


