赤字経営が当たり前で、激しい乱高下を繰り返す宇宙セクターの銘柄。潜在的な成長性を見極め、自分の信じられる銘柄に張るのが良策だ。
上場している宇宙セクターの銘柄の株価評価は難度が高く、一般的なセオリーが通用しない。通常、株価はEPS(一株あたり当期純利益)とPER(株価収益率)のかけ算で導き出される。しかし、宇宙銘柄の多くは、この前提となる利益が赤字。現在の株価は、業績というよりもPER的なもの、つまりPERの構成要素である「成長期待」により動いているのが実態だ。例えば、2026年6月のスペースXの上場前後では、宇宙セクター全体への期待感から、多くの銘柄の株価が乱高下する「行ってこい」の現象が起きた。こうした値動きは、研究開発段階にある上場バイオ銘柄に類似している。発表のたびに株価は上下するが、株価がその重要性を適切に評価しているかは判然としない。
さらに、一括りに宇宙といっても、細かく見ていけばロケット、通信衛星、観測衛星、軌道上サービス衛星、月面探査など、ビジネスモデルも潜在市場規模もまったく異なる。これらをひとつの定規で測ろうとすること自体に無理があるのだ。こうした実情を踏まえ、機関投資家やアナリストは宇宙銘柄をどのように評価しているのか。主に考えているのは、各銘柄の潜在的な成長性だ。現在、赤字を掘っている宇宙銘柄が、10年後に安定的に利益を創出する局面を迎えているとしよう。その際にどれだけの利益を産み出し、どれだけのPERがつけられるか。考えているのはこれだけだ。実務上、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)法のような複雑な手法を用いることはあるが、本質は同じだ。
未来の価値をはじくうえで重要な要素は大きく4つ。ひとつ目は、各企業がターゲットとしている潜在的な市場規模。ふたつ目は、その市場が実際に立ち上がるまでの時間軸、すなわち業績が顕在化するタイミング。3つ目は、その市場で各企業が発揮できる競争力、つまり「本当にそこで勝てるのか」。そして4つ目が、成長の実現に必要な追加資本、すなわちエクイティファイナンスに伴う潜在的な一株当たり株式価値の希薄化だ。宇宙の場合、市場が立ち上がりつつある段階のため、特に「時間軸」という変数は重い意味をもつ。株式相場の趨勢で、短期的な利益の実現性が評価されることもあれば、長期的な成長ポテンシャルが好まれる局面もある。これが短期的なパフォーマンス格差を生む要因のひとつになる。しかし、何を信じて自身がその宇宙銘柄を保有しているのか理解していれば、短期的なパフォーマンスにも、市場のノイズにも惑わされにくくなるだろう。



