サイエンス

2026.07.27 15:00

魚類初となる「伝染するがん」発見、北米の湖でナマズに感染拡大中

ブラウンブルヘッド(stock.adobe.com)

宿主の適性に制約されるがんであれば、発生した湖でも症例は少ないはずだ。ところが、到達した湖では魚の3分の1に広がりながら、隣の89の湖には現れないというのであれば、制約となっているのは到達できるかどうかだけである。

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そうなると重要なのは、水域から水域へどのように移動するかという点になる。そして湖沼で通常考えられる答えは、人間の活動だ。これは外来生物が分布を広げる際の振る舞いそのものである。

がんは魚に何をもたらすのか

「まるで疫病のように見えます」とエマーソンは述べた。

腫瘍は体表のどこにでも現れるが、口の中や、湖底で餌を探すナマズが使う「ひげ」に発生することも多い。

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「本来なら長いひげがあるはずですが、そこにがん、メラノーマができると短くなります。そのため、餌の取り方にも影響が出ています」

エマーソンはそう説明した後、筆者が漁場や魚そのものの身を案じていると思ったのか、こう付け加えた。

「ただ、この湖には餌が豊富にあります。ですから、ここで魚が飢えることはないでしょう」

1匹の個体にがんが何をもたらすかよりも、湖全体の魚にどのような影響を及ぼすかのほうが重要だ。そして自然界では、その実験がすでに2度、正反対の結末とともに実施されている。

ほかの3タイプの伝染性がんの一つによって引き起こされるデビル顔面腫瘍性疾患は、タスマニアデビルのある集団の個体数を約90%減少させた。タスマニアデビルは世界最大の肉食性有袋類で、オーストラリアのタスマニア島だけに生息する。

一方、アサリなどの二枚貝やムール貝でみられる伝染性白血病は、個体群内に広がりながらも、その個体群自体は存続している。ブラウンブルヘッドも依然として多数生息し、発症率の上昇は止まっている。つまり、後者と同じ結末に向かうことを示唆している。

伝染性がんは、ほかにいくつ存在するのか

今回の腫瘍は、科学的に確認されたものとしては4タイプ目の伝染性がんにすぎない。では、まだ見つかっていないものがどれほど存在するのだろうか。この質問を別々に尋ねた3人の研究者は、ほぼ同じ趣旨の答えを返した。

フランス国立科学研究センター(CNRS)でがんの進化生態学を研究するフレデリック・トマは、このようながんの出現を「極めてまれな進化上の転換」と表現した。

ただし、確認されている伝染性がんが4タイプだからといって、進化の過程で4回しか発生していないわけではない。タスマニアデビルのがんは、独立して2回発生している。二枚貝の白血病も、同数の種で少なくとも10回発生してきた。

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翻訳=酒匂寛

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