創業者が自ら設定した締め切りを守れなかったからといって、誰からも解雇されることはない。それが問題なのだ。
従業員は、マネージャー、評価、業績サイクル、他人が設定した締め切りなど、自らを動かし続けるように設計されたシステムの中で働いている。創業者は、自ら事業を立ち上げた瞬間に、これらすべてから離脱する。大半の創業者は、野心を持てば規律は後からついてくるものと考えている。だが、実際にはそうなることはめったにない。少なくとも、一貫した実行力に本当に必要とされるレベルの規律が身につくことはない。
着実に事業を成長させている創業者と、何年経っても後手に回る状況から抜け出せない創業者の差は、能力によるものであることはほとんどない。自らのパフォーマンスを支える業務インフラを構築しているかどうかが分かれ道となる。そして大半の創業者は、それを構築していない。
カレンダーが最初の試金石である
すべての時間が理論上は自由に使える状態にあると、どの時間も守られているとは感じられなくなる。実行力に課題を抱える創業者は、計画的な判断ではなく、その場しのぎの判断を下しがちであり、その結果、緊急性の高いタスクが常に優先されてしまう。後回しにできたはずのミーティングが、先延ばしにできない仕事を押し出してしまうのだ。
優れた実績を残す創業者は、有能なオペレーターが工場の生産現場を管理するようにスケジュールを扱う。何よりも優先して、週の中に「ディープワーク(深い集中を要する作業)」のための時間を確保する。日曜日の夜か月曜日の朝に30分間、短い週間計画セッションを行うだけで、その後に下すすべての意思決定の質が変わる。その週の出来事に振り回されるのをやめ、自ら週をコントロールできるようになるのだ。
誰に対して責任を負うかが重要である
創業者にとって最も効果的なアカウンタビリティ(報告義務)の仕組みは、自分が「やる」と言ったことを実際にやったかどうかを、率直に問い詰めてくれる別の創業者の存在だ。
ピアグループ(同業者の集まり)、マスターマインド、そして率直な報告を前提としたアドバイザリー関係などは、内発的な動機付けだけでは維持できない社会的コミットメントを生み出す。実際に効果を発揮する形式は具体的だ。曖昧な進捗確認からは、曖昧な結果しか生まれない。成果物を明確にし、締め切りを設定し、その両方について報告する。その報告に伴う緊張感こそが、規律を生み出すメカニズムなのだ。それを取り除いてしまえば、価値も失われてしまう。
こうした関係を早期に築く創業者は、より速く動き、より明快な判断を下す。組織の外に、利害の大きさを理解し、あなた自身の優先事項に沿って行動するよう求めてくれる人物がいることは、独立した事業において最も活用されていない優位性の一つである。
成果だけでなく、プロセスを追跡する
大半の創業者は、売上、パイプライン、コンバージョン率といった成果を測定する。しかし、これらの数字は過去を反映したものであり、誰も完全にはコントロールできない変数の影響を受けている。追跡するのはより難しいが、はるかに有益なのは、自分自身の業務行動だ。
今週、大きな影響力を持つ意思決定をいくつ下し、いくつ先送りにしただろうか。自分にしかできない仕事に何時間を費やし、他人に任せるべきだった仕事に何時間を費やしただろうか。最も重要な3つの優先事項を前進させることができたか、それとも1週間の流れに身を任せてしまったか。
成果ではなくプロセス(インプット)に焦点を当てた個人業務の指標を構築している創業者は、成果に問題が現れる前に軌道修正を可能にするフィードバックループを手にしている。行動と成果の間にあるそのタイムラグの中で、ほとんどの創業者は気づかぬうちに後れを取っているのだ。
実行力はデザインするものだ
一貫した実行力は、個人の資質ではない。それは、自分で構築するか、それとも運に任せるかという環境の問題なのだ。長期にわたり高いパフォーマンスを維持している創業者は、最後までやり遂げることがデフォルトとなるような、リズム、人間関係、および測定システムを構築している。一方で、行き詰まっている創業者は通常、そうした仕組みが自然と整うと思い込んでいる。
組織内で成果を生む説明責任の仕組みは、独立したからといって自然に現れるものではない。事業の他のあらゆる部分に向けるのと同じ厳密さで、意図的に、早い段階で構築しなければならない。そうした取り組みを行っている創業者こそが、5年後も事業を成長させ続けている存在なのだ。



