経営・戦略

2026.07.27 09:12

ユナイテッド航空、「空席の中央席」を新たな収益源に

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長距離フライトで、隣に誰も座らないことを保証するために追加料金を支払うか、それともお金を節約して運に任せるか。ユナイテッド航空は、確実性を得るためにお金を払う旅行者が少なくとも一定数はいると見込んでいる。

同社は今週、長距離路線に投入される新型のエアバスA321XLR型機の全機において、「エコノミープラス」の1列分を、中央席が常時空席となる仕様にすると発表した。その中央席には、窓側と通路側の乗客が共同で使える、レザー調の天板とカップホルダーを備えた固定式テーブルが設置される。この座席は今年後半に発売される予定で、価格はまだ発表されていない。

欧州の航空会社は、何年も前からこのコンセプトを販売してきた。彼らの短距離「ビジネスクラス」は、通常のエコノミー席の中央をブロックし、機内食をアップグレードしただけのケースが多い。ユナイテッド航空は、これをエコノミークラスのアップセル(上位商品の提案)としてパッケージ化する初の米系航空会社だとしている。

なぜ人々は空席にお金を払うのか

行動科学的な視点から見ると、この商品は見た目以上にスマートだ。ユナイテッド航空が販売しているのは機能ではない。苦痛の要因(ペインポイント)が「確実に存在しないこと」を販売しているのだ。

「損失回避」の法則が示すように、人は利益を得ることよりも、損失を回避することに熱心になる。3時間もの間、見知らぬ人の肘が自分の腕にぶつかり続けるのは、生々しく、容易に想像できる損失だ。足元のスペースが広くなるのは魅力的だが、隣人がいないことによる「解放感」は、それ自体が安らぎであり、その安らぎにはプレミアム(割増料金)を支払う価値がある。仕事に集中したい1人旅のビジネス客や、1列を独占したいカップルなどが、真っ先に買い手となるだろう。

当初、固定トレイで中央席をブロックするのは1列のみとなる。しかし、需要次第では、中央席をブロックするオプションを他の列にも広げる可能性がある。その際は、1列あたり2人乗り、3人乗りのどちらにも柔軟に変更できる仕様にするかもしれない。

ここには、利益率に関する裏話もある。航空情報サイト「Live and Let's Fly」によると、これらの席をブロックすることで、A321XLRの座席数は150席に抑えられる。これにより、必要な客室乗務員の数を5人から4人に減らすことができるのだ。ユナイテッド航空はどのみち、それらの中央席をブロックする予定だった可能性が高い。運営上の制約を、顧客から感謝されるプレミアム商品へと変えるのは、実に見事なマーケティングだ。(拙著『Friction』のなかで、私は企業は顧客体験から労力や不快感を取り除くことで勝者になると論じた。ユナイテッド航空は、その「取り除くこと」に対して課金する方法を見つけたのだ)

サウスウエスト航空の教訓

では、ユナイテッド航空にとって、どのような失敗が懸念されるだろうか。サウスウエスト航空の例を見てみよう。

サウスウエスト航空が1月に指定席制へ移行した際、同社は驚くほど厳格に座席指定を適用し始めた。航空情報サイト「View from the Wing」は、近くに18列分も完全な空席があるにもかかわらず、乗客が1列に3人詰め込まれ、移動を禁じられたフライトの様子を記録している。その制度導入時の記事で述べたように、同社は模倣した競合他社よりも自社製品を悪化させてしまったのだ。

その背景にある力学はシンプルだ。一度「スペース」を売り出すと、そのスペースを厳しく管理しなければならなくなる。空席は、より条件の悪い席にいる乗客にとってのチャンスではなくなり、保護しなければならない「売れ残りの在庫」へと姿を変える。客室乗務員は取り締まり役に変わる。そして、追加料金を払わない場合の体験が、有料の選択肢へ誘導するためにあえて改悪されたものだと顧客が判断したとき、そのアップセルは特典ではなく、搾取のように感じられ始めるのだ。

行動科学者は、顧客に不利益をもたらすデザインを「ダークパターン」と呼ぶ。ここで重要なのは、企業側の意図よりも、顧客の「受け止め方」だ。サウスウエスト航空の奇妙な座席割り当てと取り締まり方針には運航上の理由があったのかもしれないが、顧客は最悪の解釈をした。その結果、ブランドに対する信頼と愛着は一瞬にして消え去った。

空席となる中央席のオプションが1列のみにとどまる限り、ユナイテッド航空がサウスウエスト航空のような問題を経験することはないと私は見ている。より大きな懸念は、客室乗務員の削減が本来の目的である可能性だ。ユナイテッド航空は当面、これらの機体に5人の客室乗務員を乗せる予定のようだが、将来的には4人に減らす決定を下すかもしれない。

ユナイテッド航空は約束を守れるか

もう一つリスクがある。中央席を売らないことは一種の「約束」であり、約束を破ることは信頼を損なう。航空ブログ「One Mile at a Time」は、フライトがオーバーブック(過剰予約)になったり、乗り継ぎ便の遅れによるキャンセル待ちの乗客にその席を提供する必要が生じたりした場合に何が起きるかという懸念をすでに提起している。中央席は完全にブロックされているようだが、もしこのプログラムが他の列にまで拡大されたらどうなるだろうか。払い戻しをするだけではダメージを修復できない。空席を求めて追加料金を支払ったにもかかわらず、その席が埋まっているのを目にした顧客は、料金が返金されたことなど記憶に残らない。残るのは「約束を破られた」という記憶だけであり、それをSNSに投稿するだろう。

航空業界以外にも教訓はある。何年も前、レンタカーの係員が、本来なら何もしなくても乗れるはずだった大きな車へのアップグレードを執拗に勧めてきたことがあった。同じ車、同じ料金であるにもかかわらず、その強引な売り込みのせいで、その会社に対する私の印象は永久に変わってしまった。顧客に知識がないことを利用したり、売り手側が意図的に作り出した不快感を利用したりするアップセルは、たとえ成功したとしても、ブランド価値を蝕むことになる。

アップセルは透明かつ誠実に行うべきだ

ユナイテッド航空のアプローチがその罠を避けるためには、通常のエコノミー席の体験が誠実かつ納得のいくレベルに維持され、空席の約束が例外なく守られることが条件となる。自分が作り出したのではない苦痛からの解放を売れば、顧客に愛される。しかし、売り手が意図的に仕組んだと疑われる苦痛からの解放を売ろうとすれば、その後の提案はすべて罠だと見なされるようになる。

今週の課題を提示しよう。あなたが展開するサービスのあらゆるアップセルの提案を、すべて断る顧客の立場になって体験してみてほしい。基本プランの体験は、それでも尊重されていると感じられるものだろうか。それとも、お金を払わなかったことへの「罰」のように感じられるだろうか。もし後者であれば、提供しているのはプレミアムプランではなく「税金」であり、顧客はそれをすでに見抜いている。

(forbes.com 原文)

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