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2026.07.27 08:54

権限委譲の先へ。付き合う人を変えれば、経営者の思考は進化する

Adobe Stock

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長年、私は「権限委譲(デリゲーション)」を説いてきた。優秀な人材を雇い、仕組みを構築し、ToDoリストからタスクを消し去り、自分自身を日常業務から解放することだ。今でもその考えは変わらない。

しかし、会社を経営して7年ほど経った頃、ある不都合な事実に気づいた。ほぼすべての業務を委譲したにもかかわらず、自分の思考がまったく進歩していなかったのだ。

カレンダーの予定は減り、チームは強くなり、売上は伸びていた。しかし、私は相変わらず同じメンバーと同じプロジェクトやKPIについて、同じ会話を繰り返していた。時間的な余裕はできたが、心はカレンダーほど自由ではなかった。私に欠けていたのは「視座の引き上げ(エレベーション)」だった。

この違いを理解することは、私が23年間にわたり起業家を支援する中で学んだ最も重要なことの一つだ。そして、私が共に仕事をする創業者の多くは、今もなおこの課題の解決に取り組んでいる。

権限委譲はタスク管理の戦術であり、視座の引き上げは人生の戦略である

権限委譲は「キャパシティ(能力)の限界」という問題を解決する。自分のリソースが分散し、本来の強みを発揮すべきでない業務に忙殺され、自分がボトルネックになってビジネスを拡大できない。そこで、仕事を他人に任せ、仕組みを構築し、優秀な人材を雇う。すべての起業家がこれを行う必要がある。

しかし、権限委譲を行っても、誰から学ぶかまでは変わらない。権限委譲とは多くの場合、自分ほどスキルや経験のない人物にタスクやプロジェクトを任せることだ。仕事自体は片付くかもしれないが、それは依然として自分の意識の一部を占め続ける。それでは会話の質は高まらず、自分よりも大きな事業を築き、より手痛い失敗を経験し、そこからより早く立ち直ってきた人々から自分の常識を疑われるような環境に身を置くこともできない。

視座の引き上げとは「距離感(近接性)」に関わるものだ。それは、自分よりもはるかに経験豊富で、有能、あるいは成功している人々に、自分のタスクやプロジェクトを託す(あるいは引き上げる)ことを意味する。私の経験上、視座を高めることは、自分が身を置く環境の質を向上させる。それが同僚のグループであれ、アドバイザーであれ、あるいはインナーサークルであれ同様だ。起業家でありスピーカーでもあるジム・ローンが残した有名な言葉に、「あなたは、最も多くの時間をともに過ごす5人の平均である」というものがある。

私はこれを自分の人生と、数百人の起業家クライアントの人生に照らして検証してきた。この法則は間違いなく当てはまる。

身を置く環境が自分を形成する

2011年に前職を辞めたとき、私は単に仕事を辞めただけではなかった。私は、成果や運用資産残高(AUM)で成功を測り、大手のウォール街の銀行でコンプライアンス業務に追われている人々で溢れる環境から抜け出したのだ。

自身の受託者会社を設立した瞬間、私の視野は広がった。それは、多くの仕事を誰かに委譲したからではなく、環境を変えたからだ。物事の進め方の基準を引き上げたのである。このような大きな一歩を踏み出すとき、自分が身を置く環境は未来に重大な影響を与える。

私の経験上、自分のいる環境は、本人に気づかせることなくその思考を形成していく。人はそれを制約とは感じず、当たり前のこととして受け止める。自分が野心的だと思っている目標も、実は周囲の人々が妥当だと考える範囲の最上限にすぎない。より高いレベルで行動し、長期的な視点で考え、より困難な課題を解決している人々がいる別の環境に足を踏み入れてみれば、自分が抱いていた限界は客観的な事実ではなく、自ら選択したものだったことに気づくだろう。

私は、資産5億ドル(約819億円)を保有しながらも、自社をまるで1000万ドル(約16億4000万円)の価値しかないかのように経営し続けているクライアントの姿を見てきた。彼らに能力が欠けていたわけではない。次のレベルが実務において実際にどのようなものかを教えてくれる人々との接点がなかったからだ。

視座を引き上げるために必要なこと

視座を引き上げるには、多くの起業家が敬遠しがちな「意図的な選択」が必要である。なぜなら、それはToDoリストに書き込めるようなものではないからだ。仕組み化によって、より優れた仲間のグループに入ることはできない。誰に自分の思考に触れさせ、誰の思考を自分に取り入れるかについて、主体的な決断を下さなければならない。

具体的には以下のようなことだ。

・付き合う人間を監査する:仕事上で最も多くの時間をともに過ごす10人を見つめ直してみよう。彼らは、あなたが5年後に到達したい場所にいるだろうか。あなたが目指すような人生やビジネスを築いているだろうか。もし、率直な答えが「ノー」であるなら、それは権限委譲の問題ではなく、身を置く環境(近接性)の問題である。

・相応のコストがかかる環境に飛び込む:自分が最も経験が浅い存在であり、周囲についていくために背伸びをしなければならず、自分がその場で最も成功していないと感じるような環境のことだ。私の経験上、そうした環境は、居心地が悪いからこそ効果を発揮する。

・アドバイザー陣をアップグレードする:資産アドバイザー、弁護士、公認会計士(CPA)、コーチなどは、本人が意識していなくとも、すでにあなたの身近な環境にいる存在だ。もしアドバイザーが創業者と同じ目線で話せず、集中投資された流動性の低い株式について考慮できず、指示を待つばかりで主体的に節税戦略を提案できないのであれば、彼らは自覚の有無にかかわらず、あなたの可能性を狭めている可能性がある。

視座の引き上げは複利で効果を生む

より広い視野を持ち、より高い基準を掲げる人々と本格的に時間をともにし始めると、自身の思考、基準、そして許容範囲が変化する。適切な仲間グループを見つけたことで、ビジネスを劇的に変革させた創業者たちを私は見てきた。それはそのグループが戦略を授けてくれたからではなく、高いレベルを求める人々に囲まれることで、自分自身に対する期待値が高まったからだ。

権限委譲はこれからも重要だ。しかし、そこで立ち止まってしまうと、意識的に選んだわけでもない場所へと最適化されてしまう。だから「何を委譲できるか」という問いから、「自分は今どの環境にいて、そこは自分が本当に目指したい場所に対して十分に広いか」という、より難しい問いへと焦点を移そう。この問いこそが、あなたの未来を変える。

forbes.com 原文

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