1904年8月、詩人ライナー・マリア・リルケは、スウェーデンの田園地帯にある借り受けた邸宅で机に向かい、フランツ・クサーヴァー・カップスという19歳の陸軍士官候補生に宛てて手紙をしたためた。カップスはすでに2度リルケに手紙を送り、自作の詩を同封し、次第に自分の内面が崩れていく様子も書き綴っていた。この手紙は、文学史上最も引用される書簡集の一つとなった往復書簡の8通目にあたる。自らの悲しみを理屈で追い払おうとする若者への、リルケの答えである。
「なぜあなたは、自分の人生からあらゆる不安やみじめさ、憂鬱を締め出そうとするのか。結局のところ、こうした状態があなたの内部でどのような働きをしているのか、あなたにはわからないというのに。これらすべてがどこから来て、どこへ去っていくのかという疑問で、なぜ自分を苦しめようとするのか。あなたは今、過渡期のただ中にあり、何よりも変化することを望んでいたと知っているはずだ。もしあなたの反応に不健康な部分があるとしても、病気とは有機体が異物から身を解放するための手段であることを心に留めておいてほしい。だから、病気になるのをただ手助けし、病気のすべてを受け入れ、それを発散させるべきなのだ。それこそが、回復への道なのだから」
リルケの手紙のこの一節は、心の知能指数(EI)の根幹をなすスキルに対する、最も初期の、そして最も明確な主張の一つでもある。それは、「自分の感情と闘わないこと。感情を処理し、そこから学ぶこと」だ。
EIと自己管理:抑え込むのではなく、処理する
リルケが描写しているのは、現代の心理学者が「感情の抑圧」と呼ぶものである。感情の抑圧とは、不快な感情がその役割を終える前に、心を閉ざしたり、感覚を麻痺させたり、理屈でごまかしたりして、その感情から逃れようとする傾向のことだ。リルケのアドバイスは、その傾向に真っ向から異を唱えている。
不快な感情を締め出すのではなく、リルケは病気に「その病気のすべてを受け入れさせる」ことを勧めている。不快なことや悪いことが、長期的にはどのように自分を助けてくれるか分からないというのが彼の主張であり、彼はこう表現している。「病気とは有機体が異物から身を解放するための手段であることを心に留めておいてほしい」。言い換えれば、病気の痛みや発熱こそが、体内のウイルスを退治しているのだ。
心の知能指数(当時はまだ概念として存在していなかったが)の観点から見ると、これは「自己管理(セルフマネジメント)」が機能している素晴らしい例である。自己管理は、EIの4つの核心的なスキルの1つだ。感情知能の専門家であるトラヴィス・ブラッドベリーは、著書『The New Emotional Intelligence(原題)』の中で、「感情を処理するための時間を予定に組み込む」ことの重要性について書いている。この戦略の背後にある考え方は、感情を押し殺して帰りの車の中で自然に解決するのを期待するのではなく、自分が何を感じているのか、そしてなぜそう感じるのかを振り返ることである。
研究も、リルケとブラッドベリーの双方を支持している。学術誌『Behavior Therapy』に掲載された対照試験において、研究者らは、不安障害や気分障害を持つ人々に対し、感情的な反応を「抑圧」するか「受け入れる」かのいずれかの指導をした上で、不快感をもたらす映像を観てもらった。どちらのグループもその瞬間には同程度の不快感を示したが、その後、抑圧グループは心拍数が上昇し、否定的な感情が持続した。一方、受容グループは生理学的にも感情的にも、より早く落ち着きを取り戻した。
また、心理学者ジェームズ・グロスが主導した膨大な研究は、習慣的な感情の抑圧が、長期的なうつ病や不安障害の発症率の上昇と関連していることを示している。感情と闘っても、それが消え去るわけではない。ただ、それを抱え続けるための代償が大きくなるだけなのだ。
自分の感情をどのように管理しているかをより深く理解するために、ブラッドベリーなどの専門家は、科学的に妥当性が検証された感情知能(EQ)の自己評価テストを受けることを勧めている。
この戦略を実践するとどうなるか
次のような状況を想像してみてほしい。父親に深刻な健康問題が発生したばかりで、配偶者とは1週間中ささいなことで衝突し、シンクにお皿を置きっぱなしにした子どもに怒鳴り散らしてしまった。どの出来事も単体ではそれほど大きなことではないが、すべてが積み重なり、ただの「運の悪い1週間」以上の重みを感じ始めている。あなたの直感は、とにかく乗り切ろうと告げる。必要以上に遅くまで仕事をし、画面の前で感覚を麻痺させ、周囲には「大丈夫だ」と言うこともできるだろう。
しかしそうする代わりに、リルケのやり方を試してみる。時間を気にせず、邪魔の入らない10分間を確保して静かに座り、「これは一体、何なのだろう? 父親の身に何が起こるか分からないという恐怖心か、愛する人々を怒鳴り散らしてしまった罪悪感か、それとも何週間も蓄積されてきた疲労なのか」と自問してみる。すっきりした答えは出ない。次のステップさえ思い浮かばないかもしれない。ただ目の前にある問いと向き合うだけで、その場を離れるときには、ずっと気分が軽くなっていることに気づく。
その不快感に深く入り込むことで、自分自身、家族、そして人生について重要なことを学ぶことができる。そして、研究が示しているように、その振り返りの時間を終えたときには、感情の影響をより強く受けるどころか、むしろ軽くなっているのを実感するはずだ。
この言葉を実践に移す
リルケの真の洞察は、不快感とは、自分の中で何かがすでに変化しつつある兆候であることが多い、という点にある。感情知能の高い行動とは、不安な感情を沈黙させることではなく、それを受け入れる余地を作ることだ。時間を予定に組み込み、そこにある感情に寄り添い、それが自分の中を通り抜けていくのを待つ。リルケが表現したように、それこそが体内のウイルスを駆除し、真の回復に至る方法なのだ。
ケビン・クルーズは、感情知能(EQ)のトレーニング企業であるLEADxの創設者兼CEO。また、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー著者でもある。彼の無料のEI(感情知能)アセスメントはこちらから受けることができる。このアセスメントは心理学的に妥当性が検証されており、4つの核心的なスキルそれぞれのスコア内訳を提供している。



