2件の新たな研究によると、宇宙にあるNASAの人工衛星から得られるデータは、地上に監視装置(モニター)がない地域社会が大気汚染をより正確に追跡するのに役立つ可能性がある。
これらの報告書は、PM2.5として知られる微小粒子状物質に関する衛星由来のデータが、既存の全米大気質監視ネットワークを補完し、大気質モニターが設置されていない郡における汚染レベルを数値化できると主張している。
また、全米の郡の約80%には粒子状物質汚染を測定する地上モニターがないため、これは重要なことであると付け加えている。
最初の研究は、衛星由来のデータを用いてPM2.5汚染レベルの高い地域を特定する新たな手法を採用し、こうしたデータの新しい分析方法が全米の大気質に関する知見の向上に役立つ可能性を示唆している。
2番目の研究は、衛星由来のデータと米国環境保護庁(EPA)の地上モニターによるデータが、どこで、なぜ一致するのか、あるいは食い違うのかを解明しようとしたものである。
その結果、山火事が頻発する郡、山岳地帯や砂漠を含む郡、モニターがほとんどない郡、あるいは汚染レベルが極めて低いか、もしくは極めて高い郡では、2つのデータセット間でより大きな差異が生じる傾向があることがわかった。
報告書の著者らは、ウィスコンシン大学マディソン校、セントルイス・ワシントン大学、および米国肺協会(American Lung Association)を代表する大気質分野の専門家たちである。
筆頭著者であり、ウィスコンシン大学マディソン校の教授を務めるトレイシー・ホロウェイ博士はインタビューに対し、科学者たちは長年にわたり、衛星データ、コンピューターモデル、地上観測を組み合わせた地表付近のPM2.5データセットを開発してきたと語った。
ホロウェイ博士はさらに、これらのデータセットはすでに幅広い健康分野の応用や学術研究で使用されているものの、大気汚染対策に取り組む政策立案者にはあまり活用されてこなかったと付け加えた。
同博士によると、大半の大気質政策は地上モニターを前提に設計されているが、モニターがごくわずかしか設置されていない、あるいは全くない郡が多く存在する。
「大気質管理者、地域社会、業界団体、非営利団体が活用できる科学とデータは豊富に存在する」とホロウェイ博士は述べた。
「その大半はオンラインで無料で利用できるが、この研究から最も恩恵を受けられる層には、概して十分に活用されていない」
ホロウェイ博士は、このデータが十分に活用されていない理由の1つとして、科学コミュニティ向けに開発されたものであることを挙げ、今後はさらにデータを活用する方法を理解するために、米国肺協会のような団体との対話を増やす必要があると指摘した。
「科学者たちは自分たちの仕事を終えると、データを棚にしまって、それで役割は終わりだと考えてしまうことがある」とホロウェイ博士は付け加えた。
「しかし、利用者が何を必要とし、何を望んでいるのかを理解すれば、私たちの科学が意思決定の過程にまで確実に届くようにできる」
報告書の共同執筆者であり、米国肺協会の環境保健担当ディレクターを務めるケビン・スチュワート氏はインタビューに対し、衛星由来のデータは意思決定者に情報を提供し、それぞれの地域社会が適切に保護されるようにするのに役立つと述べた。
スチュワート氏はまた、同協会は意思決定者から、どのような情報やフォーマットが役立つのかについて意見を聞きたいと付け加えた。
「私たちはこのメッセージを広め、人々の関心をこうした取り組みに向けさせ、公衆衛生の啓発に役立てることを非常に嬉しく思っている」とスチュワート氏は語った。
「私たち肺協会は、衛星由来のデータのおかげで、地上モニターのない郡に暮らす1億人の人々の大気質について、私たちの報告書『State of the Air(大気の状態)』でより詳しく言及できるようになることを期待している」と同氏は付け加えた。
「衛星データに基づく結果はあくまで推計値だが、地上モニターのデータとの相関性は非常に高い」
環境擁護団体「マムズ・クリーン・エア・フォース(Moms Clean Air Force)」の健康正義ナショナル・マネージャーを務めるアルメタ・クーパー氏はメールに対し、アフリカ系アメリカ人の母親として、EPAや地元のコミュニティがNASAの人工衛星データを利用して危険な粒子状物質汚染を測定する新たなツールを手に入れたというニュースを歓迎すると述べた。
クーパー氏は、現在、資源の乏しい多くのコミュニティには、地上設置型の大気質モニターがほとんど、あるいは全く存在せず、そうした地域がこの種の汚染による健康被害を最も大きく受けていると付け加えた。
「大気質データへのアクセスが拡大することで、より多くの家族が健康を守り、より強力な大気汚染防止対策を求めるために必要な情報を得られるようになるだろう」と同氏は語った。



