「AI(人工知能)に何が起きているのか」と問い続けるなかで、私たちは「これから何が起ころうとしているのか」という、より困難な問いにも直面し続けている。
今、周囲を見渡し、すでに手元にある技術で何ができるかを把握するのは比較的容易だ。多くの人は、いくつかの重要な意味において、私たちはすでにAGI(汎用人工知能)や「シンギュラリティ(技術的特異点)」に近づいていると言うだろう。シンギュラリティとは、AIが認知面で人間を追い越す、いくぶん恐れられている閾値である。しかし、たとえば2027年といった近い将来のことさえ、そこへ外挿して考えるのは難しい。
この新技術の行方を占う材料として、私たちには何があるのだろうか。
ここで、以前にも取り上げたことがある、非常に興味深く詳細な予測に立ち返ってみたい。それは、MITでの私たちのイベントにも登壇したダニエル・ココタジロと専門家チームによるもので、シンプルに「AI 2027」と題されている。
この詳細なシナリオでは、2027年までに「OpenBrain」という架空の企業が「Agent-2」と呼ばれるものをリリースしており、著者らは2027年に起こり得る帰結として次のように述べている。
「新たな能力には新たな危険が伴う。安全性評価チームは、Agent-2が何らかの方法で企業から逃亡し、自律的に『生存』し『複製』しようとした場合、それが可能であるかもしれないことを発見した。つまり、AIサーバーにハッキングし、自身のコピーをインストールし、検知を回避し、その安全な拠点を利用して自律的に計画を策定・実行し、他のどのような目標であれ追求できるということだ。この結果は、モデルがこれらのタスクを実行する能力を持っていることを示しているだけであり、それを『望む』かどうかは示していない。それでも、これが可能であると知るだけでも不安をかき立てられる」
先に述べたように、複数ページに及ぶエッセイの形式をとったこの予測群は非常に詳細だ。一方で、より大局的な予測もある。最近開催されたTEDトークのイベントでアンディ・マカフィーに行ったインタビューを思い出す。私たちはそこで、来年までにAIがどのような展開を見せるかという彼の持論について議論した。
3つのシナリオ
まず、マカフィーは3つの予測を示した。
第1の予測は、総じて繁栄の予測であり、AIは「仕事を奪う」のではなく、人間の価値を補完するというものだ。
「私はAIによる雇用の終末を心配していない」と彼は語った。「AIは、私たち人類がこれまでに生み出してきたなかで最高のスキル提供ツールだと、かなり確信している」
彼はこう説明した。
「私は突然、コードを書くことにかなり有能になった。誰もが、自分の野心を実現するのを助けるこのマッチングツールを持つことになる。だからスキルを生かした起業は増え、価格は下がっていく……」
マカフィーのもう1つの予測は、「人間の繁栄のより高い水準」だった。
「私たちの生活はAIによって、そして一般的に言えば、私たちが過小評価し続けているこの技術進歩の波によって、より良くなっている」と彼は述べた。
では、3つ目はどうだろうか。マカフィーの3番目の予測は少し方向性を変え、このような進歩を目の当たりにしながらも、私たちはそれについて不平を言い続けるだろう、というものだった。
「私たちは依然としてネガティブな側面を強調し続けるだろう」と彼は言った。「私たちはここに座り、起きているひどい出来事について文句を言い、自分たちが生きているこの進歩の時代について、プロの悲観主義者や悲観的な発言者になるだろう。そして、残念なことに、そのネガティブな言説を先導するのは一流大学の人々になる。なぜなら、一流大学において自分がどれほど賢いかを示す方法は、より悲観的になることだからだ」
彼はまた、スカイネットや、敵対的で致命的なAIといった、より暗い予測についても言及した。
「私たちは分析する代わりに、問題を提起することに時間を費やしすぎている」とマカフィーは主張した。「私たちはうまくいかないかもしれないことばかりをあげつらい、それについて話すことにすべての時間を費やしている。私たちが今でも『AIは私たち全員を殺すのか』という議論を大真面目に続けている事実は奇妙極まりない。もしそのような常軌を逸した主張をするのであれば、AIが予期せず、あるいは意図的に蜂起して私たち全員を殺害するという証拠を示す責任は、その主張をする側にある。私はそのような証拠をどこにも目にしたことがないが、それでも私たちはまだこの不毛な会話に囚われている」
カリフォルニアからニューイングランド、そしてその先へ
議論の後半で私はマカフィーに、AI登場以前にはたとえば1000人の従業員が行っていた業務を3人でこなせるようになった今、動きの遅い伝統的な大企業はどのように対応していくのかを尋ねた。
現在のイノベーションの多くが、カリフォルニアの「小さな半島(シリコンバレー)」に端を発していることを指摘した上で、マカフィーは、後発企業が直面する課題についての自身の懸念が的外れであることを願っていると語った。
「既存の経済、レガシーな経済、20世紀の経済……それらは成長しており、生産性も向上している」と彼は言った。「しかし、彼らは押し寄せる変革の波に対する準備ができているのだろうか。私たちはビジネス界における大きな変化の初期段階(アーリーイニング)にいる。もう一度言おう。私たちはその変化の恩恵を受けることになるが、歴史的に成功してきた企業にとっては、ある程度の混乱や逆風が伴うことになるだろう」
イノベーターたち
導入に関する私の質問に対し、マカフィーは、今日のAI革命の最前線、あるいはその近くに身を置く先駆者たちについて次のように語った。
「事前には予測できなかったであろう、この新しいツール群に非常に熱心な人々が現れている。彼らは、導入をためらっている人々や、それを非常に恐ろしく感じている人々にとって、パワーユーザーやエバンジェリストとなっている。エージェントやオーケストレーション、コーディネーション、マークアップファイルといった議論は、すべて威圧的に感じられるだろう。私でさえ、その変化の速さゆえに、いまだに少し威圧感を覚えることがある」
彼の締めくくりの言葉は、人々を重んじ、彼らにプラットフォームを与え、AI導入の障壁を取り除くことに関するものだった。
それらは良い目標だと私は思う。すでに私たちが目にしているものを踏まえれば、なおさらである。マカフィーが指摘したように、人々は威圧感を抱いている。脅威を感じているのだ。そして脅威を感じるとき、人は最善の選択をしない。ためらい、より良い結果へと私たちを導く自信を欠く。
だからこそ、つまずいたときには互いに支え合いながら、ともに前に進もう。AIはこのような惨劇である必要はない。マカフィーが指摘するように、構成要素(ビルディングブロック)は揃っている。今私たちに必要なのは、それらを組み立てる建設者(ビルダー)なのだ。



