歴史のあるチームに新任マネージャーが加わるとき、彼らはアウトサイダー(部外者)となる。マネージャーは会社のカルチャーだけでなく、自分が管理するチームのカルチャーも学ばなければならない。実績のあるチームに加わることは、経験豊富なマネージャーにとっても恐ろしいことかもしれない。しかし、チーム側もマネージャーが職場に馴染み、自分がどのような環境に足を踏み入れたのかを理解できるようにサポートする責任を分かち合う必要がある。このようなリバース・オンボーディングにおいて、直属の部下は、マネージャーを組織に素早く適応させ、カルチャーを理解させる上で大きな役割を果たす。そうしなければ、マネージャーは孤立して空回りし、最悪の場合は退職に追い込まれてしまうかもしれない。
軍隊では、士官の任期は通常1.5〜3年であるのに対し、一般兵士は最長5年間同じ司令部に駐留することがある。新しいリーダーは迅速に組織に溶け込み、チームを早急に把握しなければならない。双方がこの「お決まりのプロセス」を理解している。これに対し、民間の組織では従業員の在籍期間がより長い場合があり、新しいリーダーが「お互いを知る段階」を突破して組織のカルチャーに溶け込むことが難しくなることがある。特に、すでに派閥ができ上がっている場合はなおさらだ。
共に働いてきた従業員たちの間には、ルーティンが確立され、人間関係が築かれ、明文化されていない仕事の進め方が存在している。チームメンバーの中には、自身がマネージャー職に応募したものの選ばれず、不満を感じている人もいるかもしれない。そのため、新任マネージャーとの仕事のスタートが難しくなることもある。また、新しいリーダーが導入するかもしれない変化に対して警戒心を抱く人もいるだろう。
生え抜きの従業員は、意思決定が実際にどのように下されるか、誰が明文化されていない知識を握っているか、そして過去にどのような解決策が試みられたかを知っている。新任マネージャーは組織図こそ理解していても、従業員側が共有しなければ、実際の仕事がどのように進められているかについてはほとんど見えていないのだ。
組織は、移行期に新任マネージャーがなすべきことに焦点を当てがちだ。マネージャーには、耳を傾け、信頼を築き、質問を通じてチームの仕事を学び、信頼性を確立することが期待される。それらの責任は重要だが、その移行が成功するかどうかを左右する上では、チーム側も役割を担っている。
1. 前任のマネージャーと比較しない
変化は決して容易ではない。従業員が同じマネージャーと長年働いてきた場合は、なおさらだ。
新任マネージャーは、ほぼ確実に異なる方法でコミュニケーションをとり、異なる形式で会議を行い、異なる期待値を設定するだろう。しかし、だからといって新しいアプローチが間違っているとは限らない。そして、マネージャーは変化を起こしていくものだ。
前任のマネージャーが許可していたこと、要求していたこと、好んでいたことについて何度も言及することは、新しいリーダーが信頼を築く妨げになりかねない。「前のボスはこんなことを求めなかった」という言葉は、すぐに反発の姿勢と受け取られてしまう。
もちろん、前任のマネージャーのアプローチについて話し合うべき時もある。うまくいっていた慣行を、リーダーが変わったという理由だけで廃止すべきではない。従業員は、何がうまく機能していたのか、なぜそれが価値を持っていたのかを説明しつつ、新任マネージャーの意思決定プロセスをサポートすべきだ。
過去を尊重することが、進歩の妨げになってはならない。新任マネージャーが質問をし、期待値を設定し、変化を導入することは当然のことであり、すべての変更を間違いであるかのように扱うべきではない。
2. 新任マネージャーを「値踏み」しない
チームによっては、新任マネージャーをひそかにテスト(値踏み)することがある。
従業員は情報をあえて提供せず、リーダーが自力で状況を把握できるかどうか様子を見ようとするかもしれない。間近に迫った締め切り、気難しいステークホルダー、あるいは組織の暗黙のルールについて、あえて伝えないこともある。
さらにこじれた状況では、その人事選考に不満を持つ従業員が、マネージャーを失敗させるために意図的に知識や情報を共有しないこともある。
このような非公式なテストは時間の無駄であり、不要な緊張感やいざこざを生むだけだ。
正確な情報がなければ、マネージャーは適切な意思決定を下すことができない。重要な知識を共有しないことは、リーダーに打撃を与えるだけにとどまらず、顧客、スケジュール、予算、そしてチーム全体の評判にも悪影響を及ぼしかねない。
従業員には、懸念を表明し、必要に応じて意思決定に異議を唱える権利が完全にある。懸念は率直に伝えるべきであり、組織が求めた経験や知識を買われて新しいマネージャーが採用されたことを念頭に置き、従業員は誠意を持って協力すべきだ。
目的は、新任マネージャーがチームの中で生き残れるかどうかを試すことではない。新しいリーダーシップのもとでチームが成功を収めることだ。
3. 業務の背景にある「なぜ」を説明する
歴史のあるチームは、長期在籍の従業員にとっては完全に理にかなっているものの、新しく入ってきた人には非効率で、時代遅れ、あるいは不要に見えるプロセスに従っていることがよくある。
新任マネージャーがプロセスに疑問を呈すると、従業員は即座に防衛的な態度を取ってしまいがちだ。その質問を自分たちの仕事への批判と捉えたり、「ずっとこのやり方でやってきましたから」といった言葉で返したりしてしまう。
それでは、マネージャーにとって有益な情報はほとんど得られない。
そうではなく、従業員はなぜそのプロセスが作られたのか、その背景を説明するべきだ。過去の大きなミスの後に、ある手順が追加されたのかもしれない。特定の承認が必要なのは、かつて2つの部門間でコミュニケーションが十分に取れなかったからかもしれない。報告義務があるのは、繰り返される顧客トラブルを防ぐためかもしれない。
新任マネージャーには、プロセスそのものと、その背景にあるコンテキスト(文脈)の両方が必要なのだ。
歴史を説明することは、すべてのプロセスを現状維持すべきだという意味ではない。一部の手順は、もはやチームの役に立っていない可能性もある。しかし、コンテキストを提供することで、マネージャーはチームが過去に経験した問題をそれとは知らずに繰り返すことなく、情報に基づいた適切な意思決定を下せるようになる。
質問を自動的に批判と捉えるべきではない。質問をすることは、責任あるマネージャーが学ぶための方法の一つなのだ。
4. 明文化されていない知識を共有する
多くのチームは、業務手順書やジョブ・ディスクリプション(職務記述書)、プロジェクト計画書には記載されていない知識に依存している。
こうした非公式な知識にアクセスできなければ、マネージャーは特定の従業員を過小評価したり、重大なリスクを見落としたり、あるいはその影響を十分に理解しないまま意思決定を下したりしてしまう可能性がある。
チームメンバーは、重要な連絡先や課題、および各自の付随業務を特定する手助けをすべきだ。チームが特定の個人に過度に依存している部分や、知識のギャップによって業務が滞る恐れがある部分について説明する必要がある。
このような知識を可視化することは、マネージャーがチームの強みと弱みの両方を理解するのに役立つ。また、クロス・トレーニング(相互研修)の向上や、単一障害点(属人化)の排除につながるほか、これまで見過ごされてきた従業員が提供する価値に対して、正当な評価を与える機会にもなる。
5. 関係を構築するための時間を十分に取る
新任マネージャーと既存のチームとの間の信頼関係は、すぐに構築できるものではない。
従業員側はマネージャーの意図を測りかねているかもしれない。マネージャー側もまた、どの情報が正確か、どの課題に早急に対処すべきか、そして率直なフィードバックをくれる信頼できるチームメンバーは誰かを見極めようとしている最中かもしれない。
双方が学習している段階であり、このプロセス全体を通じて互いに敬意を示すべきだ。
マネージャーは耳を傾け、思慮深い質問を投げかけ、チームの経験を尊重しなければならない。それがチームに力を与えることにもつながる。
チーム側は知識を共有し、懸念を伝え、変化に対してオープンであり続ける必要がある。
これは、従業員がマネージャーの下すすべての決定に同意しなければならないという意味ではない。新しいリーダーとの関係がうまくいかないと決めつける前に、マネージャーが業務を理解し、貢献するための公平な機会を与えるべきだという意味だ。
全員が互いを好きになることなど誰も期待していない。しかし、新しいチームが新たな関係に対してオープンな姿勢を示せば、チームと組織全体に素晴らしい成果がもたらされるだろう。
新任マネージャーの歓迎は共通の責任
組織はしばしば、新しいリーダーの着任を単一のイベント(社内通知、紹介ミーティング、初日のランチなど)として扱いがちだ。しかし、リーダーシップの移行を成功させるには、継続的な学習プロセスが必要となる。
本当の歓迎とは、マネージャーがチームから進んで学ぼうとし、チームがマネージャーの指導を積極的に助け、その過程で多少の変化を受け入れる用意があるときにこそ実現する。
チームとマネージャーの双方がこの移行に責任を持つことで、貴重な知識が維持され、信頼関係がより迅速に構築され、これからの展開に向けた強固な基盤が築かれるのだ。



