従業員が自分の余力を隠すようになる理由
意図的に仕事のペースを落としていることを認めた労働者の64%は自分の能力を過小評価しているわけではない。能力が表に出ると何が起きるのかを学んだのだ。
仕事を早く終わらせても報酬アップではなく仕事の増加につながるだけだとわかると、余力を隠すことの方が賢い選択に思えてくる。プロジェクトの完了を報告するのを1時間遅らせたり、進捗報告を一度にまとめてではなく間隔を空けて送ったりする。また、2日で終わるはずの仕事に3日かける、割り当てられたもの以外の仕事を引き受けない、実際の仕事が終わっていても忙しいふりをするといった、些細だが意図的な行動となって表れる。不誠実な態度を取っているのではなく自分を守ろうとしているのだ。
職場での監視が問題を悪化させることも
監視ツールは信頼の問題を解決するはずのものだったが、実際には問題を深刻化させている。Software Finderの調査によると、生産性を監視している企業で働く従業員の63%が監視によって業務を装う可能性が高くなったと答えている。働いているふりをする可能性が低くなったと答えたのはわずか3%だった。
監視が本来意図していることと、実際に起こっていることとの間に大きな隔たりがあるのが見て取れる。マウスの動きやログイン時間、メッセージへの反応の速さ、画面上の活動が追跡されていると従業員が知れば、努力はソフトウェアが測定できるものへと向けられる。実際の成果よりも見せかけのパフォーマンスの方が重要になる。
監視は解決すべき問題を解消するものではない。従業員が成果を出す代わりに忙しそうに見せるようになるだけだ。
「当然視」が意欲を失わせる
この不均衡は放置されるほど深刻化する。学術誌『Scandinavian Journal of Work and Organizational Psychology』に掲載された、勤続年数の長い人を対象とした研究では、従業員が感じる不均衡は一度の悪い出来事から生じることはほとんどないことが明らかになった。過去の貢献が当然のものとして扱われてきたという感覚や、将来の機会が不確かという感覚から徐々に積み重なっていくのだ。
この緩やかな悪化は、表向きは依然として期待に応えている従業員の間でさえ信頼の低下や意欲の減少、感情面での仕事に対する距離として表れる。対処されないまま放置されると最終的には燃え尽きたり、二度と追加の業務に自ら手を挙げないということにつながる傾向がある。


