2017年から2018年にかけてそれを実証したのはロシアだった。ロシアはドローンを用いて、ウクライナの弾薬庫に対して破壊工作とみられる攻撃を相次いで加えた。ある事例では、小型のクワッドコプター(回転翼4枚のドローン)1機でおよそ2万tにのぼる弾薬を誘爆させたという。
その後、ウクライナがこの手法を極めることになった。ウクライナはドローンを駆使して、ロシアの弾薬庫や駐機中の航空機のほか、製油所や石油・ガス貯蔵施設などを次々に炎上させてきた。エネルギー施設を狙ったドローン攻撃作戦は非常に高い効果を発揮しており、ロシアは現在、広範な燃料危機に直面している。
工場のような、より堅牢な目標に対しては、1000kg前後の弾頭を搭載するファイア・ポイント製巡航ミサイル「FP-5フラミンホ(フラミンゴ)」や、開発中のウクライナ国産弾道ミサイルなど、より大型の兵器が必要になる。しかし、ウクライナの作戦立案者たちはここへきてドローン攻撃の新たな目標群を見いだした。それが、ロシアの巨大なオンライン小売事業者ワイルドベリーズの物流施設である。これが選ばれた理由もやはり、価値の高い目標であるうえ、小型ドローン1機で炎上させることが可能だからだ。
燃えやすいものが集積する物流施設
ワイルドベリーズのフルフィルメントセンターが西側のものと同様だとすれば、典型的な施設の場合、保管物のおよそ20~30%は段ボール包装、紙、木製パレットの類いが占めているだろう。また、約20%はプラスチック製おもちゃ、家庭用品、包装材だ。さらに約20%は繊維製品や衣類で、これには燃えやすい合成繊維も含まれる。約10%は家具類。家具も燃えるもの(可燃性)だが、燃えやすい(引火性)とまでは言えない。一方、金属やガラス、陶磁器といった不燃性のものは通常、保管物全体の20%に満たない。
要するに、こうした倉庫に置かれている物品の大半は燃えやすいものだということだ。とくにプラスチックは高温で燃焼し、あの濃い黒煙を大量に発生させる。
状況をさらに悪化させるのが、ヘアスプレーや殺虫剤、塗料、浸透潤滑剤といったエアゾール缶の膨大な存在だ。これらは熱で破裂すると、引火性の噴射ガスが雲状に広がりやすく、それに引火すると火災が急激に広がるおそれがある。
電動自転車やモバイルバッテリー、コードレス工具、各種電子機器など、バッテリーが内蔵されている商品も多い。これらも非常に高温で燃え、消火活動を一段と困難にする。


