これまでの飛行テストと同様、シップは高度100km以上の宇宙空間には到達するが、地球周回軌道には乗らない準軌道を航行した。その軌道上で打ち上げから約39分後には、ラプターエンジン1基の再点火テストも実施された。前回このテストは失敗したが、今回の成功によって、周回軌道からの離脱噴射(デオービット・バーン)にも目途が付いた。
テスト終了後にイーロン・マスク氏は、「今回のミッションデータを見直して問題が発見されなければ、次の飛行テストでタワーアームによるシップのキャッチを試みる」とXへのポスト。つまり、テキサス州のスターベースから打ち上げられたスターシップの上段であるシップは、地球周回軌道に乗って射点に戻り、はじめて地上に自律着陸することになる。
船のように海上に浮かぶ「シップ」
これまでのテストでは、インド洋に着水したシップは、海上に軟着陸すると同時に大爆発を起こしていた。しかし今回、打ち上げから1時間5分後に軟着水したシップは、機体が破壊されることなく、船のように海上に浮かんだ。
これが実現された理由としては、推進剤タンク内の残存燃料が、完全にベント(排出)されたことだ。スターシップはエンジンの熱で推進剤を気化し、それを姿勢制御用のスラスタに活用するなどの構造を持つ。また、余剰に気化したガスは、機体側面などに配されたベントバルブから排出される。この独自のシステムは幾度も改良されてきたが、今回のフライトではこのシステムが完全に機能した。
また、アップグレードされたV3の機体構造はこれまで以上に強化されているが、その構造体を耐熱パネルが大気圏再突入時の熱から確実に保護したことも大きい。


