キャリアにおいて最も価値ある教訓の多くは、自ら望んで選んだわけではない状況から得られる。困難なプロジェクトの管理、予期せぬ挫折への対処、組織の大幅な変革への適応、あるいはミスからの立ち直りなど、こうした経験は往々にして、その後のリーダーシップのあり方や意思決定の方法を形づくることになる。
もし今、キャリアの厳しい時期に直面しているなら、その最中の経験こそが、その瞬間には見えにくい成長の機会に気づかせてくれるかもしれない。以下では、Forbes Business Councilのメンバーが、自身のプロフェッショナルとしての成長に最も大きな影響を与えたキャリアの試練を振り返り、そこから得た教訓を共有する。
1. 不確実性を確信を持って伝える
私を最も成長させた試練は、努力ではどうにもならない、規制や科学的な要因に左右されるコントロール不可能なスケジュールについて、正直に伝えることだった。初期のころは、周囲を安心させたい一心で、納期を約束しなければならないというプレッシャーを感じていた。しかし年月を経て、信頼を守るためには、安易な確約をしたり沈黙したりするのではなく、「まだわからない」と明確に伝えたうえで、進捗状況をきめ細かく発信し続けることこそが重要だと学んだ。 ─ アブデラハド・バーバー(Abdelahhad Barbour)氏、Ostia Sciences Inc
2. バーンアウトをより良いリーダーシップへ昇華させる
最終的に私を成長させてくれた試練は、2022年に経験したバーンアウト(燃え尽き症候群)だった。それにより、自分の人生や会社がいかに恐怖によって支配されていたかに気づかされた。私は常に「いつか化けの皮が剥がれるのではないか」という不安を抱えており、それが他者への不信感につながっていた。治療を通じて、こうした傾向は恐怖に対処するために自分が身につけた適応メカニズムなのだと理解できるようになった。心身の崩壊を経験したことで、自分を責めるのをやめ、好奇心を持って自分と向き合えるようになり、自己への思いやりを持つ道が開けた。それを軸にリーダーシップを発揮し始めると、驚くほどすべてが好転していった。 ─ ヤン・ガーバー(Jan Gerber)氏、Paracelsus Recovery
3. さらなる拡大の前に仕組みを構築する
システムが追いつかないほどのスピードで業務を拡大してしまったことがあった。採用、ワークフロー、コミュニケーション、財務のすべてが一度に崩壊した。飛行機を飛ばしながらインフラを構築する方法を学ばなければならなかった。場当たり的な対応を捨て、ゼロから設計することを余儀なくされた。私がチームやプロセス構築について知っていることの大部分は、その「管理されたカオス」の時期に培われたものだ。 ─ ニコラ・キリジッチ(Nikola Kiridzic)氏、StaffHero
4. 権限移譲で影響力を最大化する
私をプロフェッショナルとして最も成長させたのは、臨床医からリーダーへの転身だった。初期のころは、個人のパフォーマンスや、あらゆる細部に自分が関与することが成功を意味していた。しかし、ビジネスを立ち上げて規模を拡大するにつれ、真の影響力は他者に権限を与え、システムを構築し、カルチャーを創造することから生まれると学んだ。コントロールを手放すことは不安を伴うものだったが、成長とは自分が「なくてはならない存在」になることではなく、人々を通じて持続的な影響力を生み出すことなのだと教えられた。 ─ リーナ・ワディア(Reena Wadia)氏、RW Perio
5. 共通の目的のもとにチームを結束させる
コロナ禍において全国規模の医療システムを率いた経験は、まさに飛行機を飛ばしながら組み立てているような感覚だった。しかし、そこから生まれたのは、目的を同じくする極めて強力な団結力だった。命を救い、地域社会に貢献するという共通のミッションのもとに人々が集まった。目的には、人々を結束させ、不可能に思えることを成し遂げるよう鼓舞し、それまで気づかなかった強みを引き出す力がある。逆境は私たちを強くするだけでなく、私たちの最高の部分を引き出してくれる。 ─ カヴィサ・バティア(Kavitha Bhatia)氏、Prime Healthcare
6. 言語の壁を越えて適応する
私をより急速に成長させてくれた試練は、言葉の通じない国で働いたことだと思う。それまで自分の最大の武器はコミュニケーション能力だと思っていた。しかし、現地の言葉が話せないという圧倒的な不利に立たされたことで、他のスキルを磨き、文化的なニュアンスや現地の言葉を学び、自分のスキルを異なる地域へと移植する方法を学ぶ必要に迫られた。この変化が、私のキャリアの軌道を完全に変えた。
─ ラクシュ・ガングワニ(Laksh Gangwani)氏、ViewTrade
7. スケールを成功させるために仕組みを取り入れる
プロフェッショナルとしての私の最大の試練は、12の会社を立ち上げた後、ビジネス・オペレーティング・システムなしで規模を拡大していたことに気づいたことだった。「Bloom Growth」や「EOS」、「Scaling Up」といったプラットフォームとの出会いは、リーダーシップ、説明責任、そして持続可能な成長に対する私の考え方を変えた。試練は市場にあったのではない。優れた起業家精神の直感だけでは偉大な会社は作れない、仕組みこそがそれを作るのだと知ったことだ。 ─ スティーブン・クレイン(Steven Krane)氏、Rylek Growth Partners
8. プロフェッショナルとしてのアイデンティティを定義する
最も困難だったのは、自分が実際に何をしているのかを言葉にすることだった。私のキャリアは常に、執筆、プロデュース、パートナーシップ構築といった複数の分野にまたがっていたため、自分の仕事を過小評価するような肩書を安易に使ってしまっていた。変化が訪れたのは、既存の役割に自分を当てはめるのをやめたときだった。私が手がけてきた仕事の本質は常に同じだった。対話、協働、そしてシステムを、より意識的で、つながりのある、人間味のあるものにすることだ。 ─ ビハ・ベネット(Bija Bennett)氏、BijaB
9. 絶え間ない犠牲よりも持続可能性を優先する
優れたリーダーとは、最も重い荷物を背負う人ではない。18カ月という期限のなかで新規事業をゼロから立ち上げるのを手伝っていたとき、私は何が可能かを証明することにエネルギーを注ぐあまり、何が持続可能かを自問することを忘れていた。事業は成功したが、最後には燃え尽きてしまった。レジリエンス(回復力)とは耐え忍ぶことではなく、絶え間ない自己犠牲なしに成功できるチーム、信頼、そしてシステムを構築することなのだと学んだ。 ─ アマンダ・ターコット(Amanda Turcotte)氏、Amalgamated Life Insurance Company
10. 揺るぎないリーダーシップで危機を乗り切る
間違いなく、2番目のスタートアップで連邦倒産法第11章(チャプター11)の適用申請を余儀なくされ、会社の再建を主導した経験だ。財政的な困難にもかかわらず、従業員を一人も解雇せず、給与の支払いを一度も遅らせなかったことを非常に誇りに思っている。私たちはより強固な企業として再起を果たし、その後15年以上にわたってQSR(クイック・サービス・レストラン)向けテクノロジー分野を席巻した。 ─ クリストファー・セベス(Christopher Sebes)氏、nCentiv Corp.
11. 拒絶を成長の起爆剤にする
拒絶されることは常に最もつらい試練だが、真っ向から向き合えば、それは必ず自己変革の引き金となる。キャリアのどの段階にいても、誰もが直面し続ける課題だ。プロフェッショナルとして成長するためには、拒絶を誰もが付き合い続けなければならない「メンター」と捉えるべきだ。 ─ ジャスミン・ミアン(Jasmine Mian)氏、JR Dallas Wealth Management
12. 答えを出すことから、リーダーを育てることへとシフトする
専門知識だけでは持続的な影響力は生み出せず、責任の範囲や規模が大きくなるにつれて、最終的には逆効果になるという教訓を得た。キャリアの初期、私は「答えを持っていること」こそが自分の最大の価値だと信じていた。成長の転機は、自分が答えを提供するのをやめ、他者がより効果的に考え、学び、率いることができる環境を整えることにシフトしたときだった。その変化が、私のリーダーシップと私たちが達成した成果の双方を一変させた。 ─ ジャネット・M・ハーヴェイ(Janet M Harvey)氏、inviteCHANGE
13. 熟考してから答える
私のキャリアにおける最大の教訓の一つは、常に即答する必要はないと知ったことだ。以前は早く答えなければというプレッシャーを感じていた。だが時間が経つにつれ、最善の決断は、耳を傾け、質問を投げかけ、じっくり考える時間を取ることから生まれると気づいた。深く考え抜かれた返答は、たいていの場合、素早い返答よりもはるかに価値がある。 ─ ジェニファー・ウェイクフィールド(Jennifer Wakefield)氏、Greater Richmond Partnership
14. 共感と理解を持って率いる
私を決定づけた試練は、自分とは異なる考え方をする人々を率いる方法を学んだことだ。人々は、単にリーダーと同じものが見えているからついてくるのではない。そのリーダーを信頼しているからこそ従うのだ。そこで私は、共感力、忍耐力、およびストーリーテリングのスキルを磨きながら、他者の成長を支援することへ意識的に舵を切った。今では「彼らは理解していない」と思う代わりに、「どうすれば彼らが理解できるよう手助けできるか」と考えるようになった。現在、私は自分の影響力や成功を、自分の後ろに従う人の数ではなく、自分の隣で能力を発揮できるようになった人の数で測っている。 ─ ミシェル・シムズ(Michelle Sims)氏、YUPRO Placement
15. グローバル市場で時間をかけて信頼を築く
自分を成長させた試練は、市場によって信頼の築かれ方が異なることを知ったことだ。ヨーロッパの企業としてグローバル市場へ展開するにあたり、信頼性は最初から与えられるものではないと理解する必要があった。市場によっては、取引を進める前に、相手が誰であるかを非常に慎重に見極める。このことが私に、忍耐、一貫性、そしてそこに存在し続けることの重要性を教えてくれた。信頼を築くには時間がかかるかもしれないが、いったん確立されれば、それは成長のための最も強固な基盤の一つとなる。 ─ ジルダ・ディンチェルティ(Gilda D'Incerti)氏、PQE Group
16. リーダーシップ構造の再考を恐れない
キャリアにおける最大の試練の一つは、リーダーシップの構造は進化しなければならないと気づいたことだった。グループ企業の一つで、パフォーマンスの低いマネージャーを交代させる代わりに、ホラクラシー(自律分散型)モデルへ移行し、チーム全体に責任を分散させた。これにより、リーダーシップとは既存の構造を維持することではなく、必要に応じてそれを再考する勇気を持つことなのだと教えられた。 ─ アレクサンドル・ボンヴァン(Alexandre Bonvin)氏、Audacia Group
17. 準備が整う前にチャンスを受け入れる
求めてもいなかったし、時間的な余裕もなかったチャンスを引き受けたことがある。それは新しいイニシアチブを率いる機会だったが、最初に頭に浮かんだのは、それが都合の悪い理由ばかりだった。しかし、最も重要な機会が完璧なタイミングで訪れるとは限らない。その取り組みは、自分でも予期しなかった形で私を大きく成長させてくれた。成長というものは、カレンダーに空きができるのを待ってはくれない。自ら求めなかった機会こそが、進むべき運命の扉になることもある。 ─ キャサリン・ウェルバーグ(Catherine Wehlburg)氏、Athens State University
18. 利益よりもクライアントを優先する
たとえ利益が出ないとしても、常にクライアントの利益を最優先するという挑戦だ。その一つの決断が、私のキャリア全体を形作った。私は、偏りのない情報を求めて人々が頼る存在になった。時間はかかったが、最終的には素晴らしいキャリアへとつながった。 ─ ロバート・キャノン(Robert Cannon, MBA, CFF, AIFA)氏、Experity Wealth
19. キャリアを通じて主体的な思考を維持する
企業の階段を上り続けるなかで、現在の私を形作る最大の転機となった試練は、自分がいつの間にか組織に染まりきっているのではないかという自己認識を持ったことだった。企業特有の「お仕着せの思想」を長く受け入れすぎると、思考の独立性を失ってしまう。経済的な「黄金の手錠」だけでなく、特に自分のパーソナルブランディングが履歴書に書かれた企業のロゴと切り離せなくなったとき、恐怖心だけでその場にしがみついてしまうことになる。 ─ ジャスティン・トビン(Justin Tobin)氏、Gather
20. 変化し続ける業界で学び続ける
最大の試練の一つは、絶えず進化する業界のペースについていくことだった。トークン化やRWA(現実資産)の分野でビジネスを構築するには、継続的な学習と適応が欠かせない。世界中の創業者、投資家、規制当局、機関投資家との対話によって視野が広がり、優秀なチームと共に働くことで、そうした知見を有意義なイノベーションと成長へと昇華させることができている。 ─ エドウィン・マタ(Edwin Mata)氏、Brickken



