長年、ブランドの「発見」は予測可能なジャーニーとして扱われてきた。潜在顧客はGoogleに行き、「膝が悪い人向けの最適なランニングシューズ」といった言葉を入力し、上位にランクインしているブランドを見つける。そのジャーニーは今でも可能だが、もはや唯一のルートではない。
マーケティングエージェンシーのCEOとして、私は顧客の行動が「検索のみ」から、より広範な「発見ジャーニー」へと移行する様子を見てきた。顧客は今でも検索しているが、いつも馴染みのGoogleを頼るわけではない。彼らはAIアシスタントに答えを求めている。TikTokやInstagramで検索している。YouTubeで製品レビューを見ている。クエリを打ち込む前から、ランニングシューズのおすすめを提示されているのだ。
マーケターにとっての課題は、順位を超えたところに移った。いま本当に求められているのは、顧客が意見を形成し始めるあらゆる場所で存在感を示す(視認される)ことだ。
「発見」はもはやGoogleから始まらない
今でも成果をもたらしているチャネルを軽視するつもりは全くない。Googleは依然として重要であり、検索エンジン最適化(SEO)も引き続き重要だ。しかし「発見はGoogleから始まる」という前提は、いまや「イエローページ広告」と同じくらい時代遅れになりつつある。
ロイタージャーナリズム研究所の「デジタルニュースレポート2025」では、「ソーシャルメディアや動画プラットフォームを通じた消費へのシフトの加速……」について述べられている。このレポートはニュース消費に焦点を当てているが、その行動パターンはマーケティングに携わる者なら誰でも身に覚えがあるものだ。
顧客はあるブランドについて、最初はTikTokクリエイターの動画で知り、次にInstagramで検索し、Amazonのレビューを確認し、ChatGPTに選択肢を比較させるかもしれない。それらをすべて経て初めて、企業のウェブサイトを訪れる。それも、訪れればの話だが。
そのジャーニーにおいて、ウェブサイトは正面玄関ではない。時には、脇の入口のように機能することさえある。
新たな「発見」のエコシステム
Retail Diveは最近、高級品を購入する買い物客が製品レビューや購買に影響を与えるコンテンツを探すためにTikTokを利用していると報じた。その記事の一節が、この変化をうまく捉えている。「人々はブランドだけでなく、同じ消費者の声を求めている」
私の考えでは、これこそがマーケターが注力すべきポイントだ。今日の顧客は、ブランドそのものよりも、自分たちに身近に感じられる人々やコミュニティからの裏付けをますます求めるようになっている。そして、これはTikTokに限ったトレンドではない。
マーケターは、SEO、ソーシャル、クリエイター、マーケットプレイスをそれぞれ独立した島として扱うのをやめるべきだ。顧客はプラットフォーム間を自然に移動しており、ブランドの認知もそれに追従しなければならない。
従来のSEOだけでは不十分な理由
SEOは死んでいない。そのフレーズは数年ごとに囁かれるが、完全に時期尚早だ。確かなのは、検索体験自体が変化しているために、SEOも変化しているということだ。Search Engine Landは、「検索はもはや単なる青いリンクのリストではない」と指摘している。
これこそが、マーケターが今向き合っている現実だ。「ゼロクリック」体験の普及は、顧客が自社ウェブサイトを全く訪れなくても「発見」が成立し得ることを意味している。
これは測定上の問題を生む。顧客が最初にAIの回答やクリエイターの動画であなたのブランドを目にした場合、ウェブ解析は全体像を決して伝えないかもしれない。それにもかかわらず、あまりにも多くのブランドが、分断された発見ジャーニーを「検索のみ」を想定したダッシュボードで測定しようとしている。
「発見最適化」の台頭
SEOの次のステージは、人々が意思決定のために集まる場所で、自社ブランドが容易に理解され、推奨されやすくすることだ。これには、従来のキーワードモデルよりはるかに柔軟なコンテンツが必要となる。顧客にとって有益であると同時に、発見システム(AIやアルゴリズム)がその位置づけを容易に把握できるほど明快でなければならない。
クリエイターを通じたアピール力も、この議論に含めるべきだ。IABは、2025年の米国クリエイターエコノミーにおける広告費が370億ドル(約6兆600億円)に達したと報告している。同記事では、ブランドがクリエイターを「単なるソーシャルメディア内の一戦術ではなく、独立したチャネル」として扱っていることにも言及している。
この事実は多くを物語っている。クリエイターは単なる拡散装置ではない。多くのカテゴリーにおいて、彼らは「発見エンジン」の一部なのだ。
今すぐマーケターが適応すべき方法
この大きな変化に戸惑うかもしれないが、取るべき対策は決して複雑ではない。まずは以下のステップから始めるといい。
• 最初の影響地点(インフルエンスポイント)を特定する。顧客が自社ブランドや製品カテゴリーに最初に出会う場所を見極める。認知の最初の瞬間は、ウェブサイトへのアクセスよりはるか手前のRedditのスレッドやSubstackのニュースレターなどで発生しているかもしれない。
• 「視認性」の意味を再考する。マーケターに必要なのは、コンバージョン直前の最終クリックだけでなく、初期段階の「影響力」を考慮したレポートだ。簡単な方法として、顧客に自社をどこで最初に知ったかを尋ね、その回答をアクセス解析データと比較してみるといい。
• プラットフォームを越えて流通するコンテンツを作る。優れたコンテンツは、自社のウェブサイトの外でも価値を発揮する。AIにとって分かりやすく、ソーシャルメディアにおいて魅力的で、顧客にとって信頼に足るものでなければならない。
• 最良の情報を見つけやすく、検証しやすくする。AIの回答に確実に採用される魔法のスイッチは存在しないが、関連ページをクロール可能な状態に保ち、FAQコンテンツを顧客が購入前に本当に抱く疑問に特化させることで、その確率を高めることはできる。情報が一貫しており、具体的であるほど、AIツールはブランドを理解しやすくなる。
すべてのプラットフォームを追いかける必要はない(そんな時間はないはずだ)。顧客にとっての「発見」がどこで起こっているかを理解し、その行動に合わせた計画を立てればいいのだ。
「視認性」の未来はあらゆる場所にある
これまでのSEOの考え方は、誰かが検索したときに見つけてもらうことだった。これからのマーケティングに必要なのは、検索が行われるはるか前の段階で、特に疑問が意見に変わり、意見が購買決定へと変わる場所において、存在感を放つことだ。私はこれをSEOの終焉とは捉えていない。SEOが「進化」したのだと考えている。
最も強いブランドは、検索順位の先を見据え、初期の疑問から最終的な意思決定の瞬間に至るまで、発見エコシステム全体にわたって存在感を築き上げていくだろう。



