「REIT化による不動産の切り離しで現金創出を検討した結果、財政上や業務上のリスクの方がはるかに高いとの結論に達しました。現在のマクドナルドにとって、REIT化が最善の解決策であるとは考えません」と最高総務責任者(CAO)ピート・ベンゼン氏は述べた。
同社は、REITやリース戻し条件付き売却など、保有する不動産を最大限に利用する方法を十分に検討したうえでこの結論を出した。「REITを利用して不動産をスピンオフすれば、マクドナルド社は少なく見積もっても200億ドル(約2兆4520億円)を得ることになる」と推奨した投資家の一人が米ヘッジファンドのグレンビュー・キャピタル・マネージメント創業者ラリー・ロビンズ氏だった。
2014年の年次報告書によると、マクドナルドは土地、建物、その他設備として250億ドル相当(約3兆653億円)の不動産資産を保有。同社は「不動産を所有していることで、業界としては最高レベルのレストランを提供できている」としている。フランチャイズオーナーから支払われる不動産賃貸料とロイヤリティーは、低コストで株主に現金を還元する安定的収入源となっている。
フランチャイズ店舗が大きな割合を占めるマクドナルドは、2018年までに更にその数を増やし、これまでの目標90%を上回る93%をフランチャイズ化する方針を明らかにした。長期的には、全体の95%をフランチャイズ店舗にする目標を掲げている。また、2016年までには株式の配当を5%引き上げ1株あたり89セントとし、負債を増やす形をとっても総額100億ドル(約1兆2261億円)を株主に現金還元する意向だ。
マクドナルドは、全米展開で10月にスタートした「いつでも朝食キャンペーン」の売上げについて、「当社の予想売上を多少上回る」としただけで、未だ具体的な数字は明らかにしていない。
キャンペーンによる後押しを抜きにしても、第3四半期の全米既存店舗売上高は過去2年で初めて右肩上がりを見せている。マクドナルドは、アナリスト予想を超える増収増益で投資家を喜ばせることができた。