AIがある程度まで「人間の仕事をこなせる」という、LLM(大規模言語モデル)の進化の全貌を多くの人が知るようになって以来、スカイネットのような存在への懸念はさておき、雇用の喪失が最大の懸念事項となっている。結局のところ、激しい競争が繰り広げられる経済社会において、仕事は生存の糧であり、多くの人々にとってその脅威は極めて現実的なものに見える。
しかし、別の見方も存在する。今年中にホワイトカラーの仕事が完全に崩壊すると予測する悲観論者がいる一方で、企業はAIの限界を認識し始め、すでに人員の再雇用に動き始めていると主張する識者もいる。Forbesのコントリビューター、TerDawn DeBoeによるこの記事を参照してほしい。
DeBoeは、よくある軌跡をたどりながら次のように書いている。「Time誌は今週、AIに仕事を奪われたことを理由に解雇された従業員を、一部の企業が再雇用する際に見せる、予測可能なパターンについて報じた。まず企業は、ある業務にAIを導入することを発表する。人員が削減される。その後、6カ月から12カ月が経過すると、AIは業務の60%を順調に処理できるようになるものの、残りの40%を処理できないことが判明する。そのため、企業は元の従業員を再雇用するのだ」
それを踏まえて、現在の人員削減の状況と、CEOたちの本音を見てみよう。
数字で見る現状
筆者は、AI主導のレイオフ(一時解雇)のさまざまな側面や、それがどのようにコスト削減策を装っているかを詳しく解説した『Founders Reports』の詳細なレポートに目を通した。
1100人を解雇したCloudflareや、約500人を解雇したCrowdStrikeといった比較的小規模な企業の影響も無視できないが、大企業の一部はさらに大規模な削減を行っている。同レポートによると、Microsoftが約2万3000人の削減でトップ10に入っていることは驚きではないかもしれないが、UPSの削減規模には目を見張るものがある。過去1年間に推定3万2000人の従業員が同社を去り、その多くがAIに関連していたという。
著者のMarc Shorbは次のように説明している。
「2025年、発表された人員削減のうちAIに起因するものは5万4836件で、レイオフ全体の約5%を占めていた。そして2026年を迎えた。2月には、発表された人員削減のうち4680件にAIが関わっていた。3月にはその数が過去最高を記録し、初めてAIが人員削減の理由の第1位となった。AIによるレイオフの件数は5月にピークに達した後、6月に減少した。しかし、過去4カ月間、人員削減の理由のトップは常にAIであり続けている」
2027年になったらどうなるのだろうか。完全にAIだけで運営される企業が登場するのだろうか。
CEOたちの発言
同レポートはまた、今日のCEOたちが取りがちな行動についても言及している。それにはレイオフ、さらなるレイオフ、そしてエントリーレベル(新卒・未経験者)の採用凍結などが含まれる。これらはすべて、新卒者を厳しい状況に追い込む可能性が高い。
同記事には、経営陣からの簡潔な引用がいくつか掲載されている。筆者が興味深いと感じたものをいくつか紹介しよう。まずはAccentureだ。CEOのJulie Sweetは、同社が「リスキリングが現実的な道ではない場合、短縮されたスケジュールでスタッフを退職させる」と述べた。いかにも企業らしい言い回しだ。さらに示唆に富むコメントを紹介する。
「現在行われている仕事の一部については、必要な人員が減る一方で、別の種類の仕事についてはより多くの人員が必要になるだろう。これが長期的には最終的にどのような結果をもたらすかを正確に知ることは難しいが、今後数年間は、社内全体でAIを広範囲に活用して効率性を高めることで、全社の総従業員数が減少すると予想している」──Amazon CEO、Andy Jassy
「AIとエージェントが今や当社の労働力の中核を成すようになり、Cloudflareにおける働き方は根本的に変化した」──Cloudflare CEO、Matthew Prince
「AIは常に当社の事業運営の基盤となってきた。AIは採用曲線を平坦化し、アイデアから製品化までのイノベーションを迅速化する。また、市場開拓を効率化し、顧客の成果を向上させ、フロントオフィスとバックオフィスの両方で効率化を推進する」──CrowdStrike CEO、George Kurtz
「AIは世界を変えており、私たちは求職者と雇用主の双方に真に優れた体験を提供するプロダクトを届けることで、これに適応しなければならない」──IndeedおよびRecruit Holdings CEO、出木場久征
後悔の代償
企業が人間の労働者を解雇し、代わりにAIを導入することを急ぎすぎると、何が起こるのだろうか。
Incで、Pam Didnerは次のように述べている。
「人員削減を始める前に、人間の判断力と戦術的な論理思考をどのように切り分けるのか」とDidnerは反語的に問いかける。「それは組織図を見ただけでは決してわからない。日々のワークフローや、従業員との会話の中にこそ見出せるものだ」
Didnerは、人間をプロセスから早急に排除しすぎた企業で何が起きたのかを描いている。
「今、慌てて再雇用を進めている企業は、必ずしも経験の価値を過小評価したわけではない。近道をとったのだ。判断力が実際にどこに宿っているかを描き出すことなく削減した。間違えるために代償を払い、その取り消しのために再び代償を払ったのである」
その通りだ。
本質的に、企業は単に「AIを導入せよ」という条件反射的な反応で動くのではなく、賢明でなければならない。確かにAIを活用する必要はあるが、即座に、全面的に、あるいは人間の監視なしに行うべきではない。前述の一部の書き手が指摘しているように、AIはタスクを代替するものであり、人間を代替するものではない。私たちは、LLMに引き渡す業務を今なお制限する必要がある。そして、一部の企業はそのことを身をもって学んでいる。今後の展開に注目したい。



