だから、賢いほうが良く、愚かなほうが悪いというかぎり、この循環は加速し続ける。しかもそれは、悪循環ではなく好循環なのだ。
その循環は、まだ始まったばかりだ。私たちは1981年のインテル8088の段階にいる。暗号資産マイニングの世界の住人なら、この先どうなるかを語ってくれるだろう。開発が技術と人間の営みを、想像もつかない水準へ、驚くべき速さで押し上げていくさまを。そして、その道のりがどれほど荒っぽいものかも。
LLMは氷山の一角だ。
だから次にChatGPTを開き、「超賢い」プロンプトを打ち込んで、長々と待たされたとしても、それが処理に必要な時間だと思ってはいけない。違う。あなたに割り当てられたインフラの量が、その程度だというだけのことだ。必要なのは、より優れたLLMではなく、より多くのインフラの割り当てである。25万ドル(約4100万円)分の機材を買って自分専用に使えば、同じ出力がもっと速く返ってくる。しかも、あなたは分単位で課金されている。1980年代の懐かしいオンラインサービスと同じだ。その初期費用を2年で償却し、OpenAIのAPI利用料と比べてみればいい。そうすれば、コストの土台がどうなっているかが見えてくる。
あなた個人は、AIを持たずに済ませる余裕があるかもしれない。うらやましいことだ。しかし、企業や政府はそうはいかない。彼らに選択肢はないのだ。
その一方で、AIという氷山の本体は巨大だ。
Windowsがマイクロソフトを築き、無料のUnixがアップルを築いたのと同じように(現在のmacOSは、NeXTSTEP由来のXNUカーネルを中心に、オープンソースのBSD系Unixを一部取り入れている)、オープンなAIとクローズドなAIが明日の巨人たちを築いていく。
これはAIブームの終わりではない。始まりですらない。


