「自転の加速」は終わったか
地球の自転はここ数年、急激に加速していた。地球の自転速度は長期的には徐々に減速していくと長年予想されていたため、近年の加速傾向は科学者たちを驚かせたとtimeanddate.comの天体物理学者であるグレアム・ジョーンズは述べている。この傾向が初めて明らかになったのは2020年で、この年は原子時計の導入以降で最も短い1日の記録を更新した日が28日間もあった。
2022年にも新記録更新が続き、2025年には再び特に短い1日が相次いで記録された。これにより史上初の「負のうるう秒」が必要となる可能性が高まったほか、日食の影の移動経路がわずかに変化し、★2023年に金環日食が観測できると予測されていたテキサス州の一部で実際には部分食しか見られないという事態が起こった。地球の自転速度のわずかな差異が、中心食の影の移動経路を導き出す計算の精度に影響を及ぼしたのだ。
だが、最新のデータによると、自転速度の上昇はすでにピークを過ぎた可能性がある。
地球の自転速度はなぜ変化する?
地球は極めて規則正しく自転しているが、ごくわずかながら速度が変化し続けている。「地球の自転は、月の軌道の影響を受ける」とジョーンズは説明する。「月が赤道上にあるときは自転速度が緩やかになり、月が赤道の北側か南側にあるときは自転が速くなる」。一方、潮の満ち引きを起こす潮汐力は、数世紀から数千年にわたって地球の自転を徐々に減速させている。しかし、地球の液体核(外核)の内側や海洋・大気の動きといった他の要因については、依然として予測が難しい。
「私の考えでは、地球の自転は減速し始めている」とモスクワ大学の測地学の専門家レオニード・ゾトフはtimeanddate.comに語った。「この10年間で最も短い日はすでに過去のものとなり、地球は(自転の)最高速度を過ぎたのだ」
気候変動の影響も
今年3月、オーストリアのウィーン大学とスイスのチューリッヒ工科大学による研究で、気候変動によって氷河や極地の氷床が融解し、地球全体で水の分布が変化した結果、地球の自転が少しずつ遅くなり、1日の長さもわずかに延びているとの結論が導き出された。
なお、気候変動が人間活動に起因すると考えている米国人の割合は48%にとどまるという調査結果もあり、科学的知見と世論の認識には隔たりが存在している。


