経済

2026.07.25 09:42

小売業界は急拡大する「チャット」エコノミーに対応できるのか

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検索するのではない。ただ尋ねるのだ。

これは、静かに、しかし急速に小売企業に迫っている大きな変化を端的に示す言葉である。小売企業は、マーケティングの方法、ウェブサイトの構造、そして従来型の検索広告が避けられない終焉を迎えるなかでどう対応するかを見直さざるを得なくなっている。

業界ニュースサイトの報道によると、いまになって対応に追われている小売企業は少なくないようだ。ウェブサイトをAIと同期させるために作り替えるコストは莫大である。特に消費者に直接販売する小売企業の中には、この移行を乗り切れないところも出てくるかもしれない。そしてその変化は、多くの人が考えるよりも速く迫っている。

来年末までには、消費者の主な買い物手段は、何らかのAIプラットフォームを通じたものになるとみられている。さらに、そのやり取りは検索ではなく、チャットになる。

「ブライズメイドのドレス」と入力する代わりに、買い物客はAI「エージェント」にこう語りかけるかもしれない。「大学時代の親友が6月に、海を見下ろすゴルフ場の崖の上で結婚式を挙げるの。カラーテーマはロビンズエッグブルーで、予算は1人150ドル(約2万円)に設定していて……」といった具合だ。

これは、ブライダルショップに入ったときに話す内容とほぼ同じだ。ただしAIエージェントに話すということは、ウェブサイトを持つ世界中のほぼあらゆるブライダルショップの販売員に話しているようなものだ。

そして店頭の販売員と同じように、いやそれ以上に、しかも注意をそらされることなく、AIエージェントは一連の追加質問を投げかける。ドレスは何着必要か。スタイルがぶつからないように、花嫁のドレスの写真を送れるか。どんな生地がよいか。靴はどうするか。質問は次々と続く。会話が終わるのは、消費者が決めたときだけである。店員とは違い、AIエージェントは休憩に入ることも、質問にうんざりすることもない。「少し太り気味なので、それをカバーできるドレスが必要です」と尋ねても、気まずい思いをさせることはない。

その会話の相手は、ファッションレーベルでもブランドでもない。これは、四半世紀にわたって築かれてきたEコマースのあり方を根底から変える変化である。相手はAIエージェントになる。現在、ブラウザーで「ブライズメイドのドレス」と検索すれば、いくつかのスポンサー付きリスティングが表示され、その後にBloomingdale’sやThredUpのようなおなじみの企業が並ぶ。それらのリンクをクリックすると、限られた絞り込み条件の中で、1つの小売企業の商品だけを閲覧することになる。

近い将来の主流は「コンバセーショナルコマース」である。AIショッピングエージェントモデルを指す言葉だ。

この概念は数年前から存在していたが、いまや小売企業が不安を抱き、取り組みを進める最重要課題の1つになりつつある。コンサルティング大手アクセンチュアの最高経営責任者(CEO)、ジュリー・スウィートは最近、CNBCに対し、これまで同社の顧客は業務機能の管理におけるAIの効率性に重点を置いてきたと語った。

しかし同氏によると、最近の調査で、回答した経営幹部のほぼ80%が、AIエージェントと同期するようウェブサイトを作り替え、自社内のAIエージェントを開発することで、成長面でさらに大きな利益が得られると見ているという。まもなく買い物客は、アマゾンが開発を進めてきた「Rufus」のような、ブランド側が管理するAIエージェントと会話するようになる。

長年にわたり、アマゾン、そして近年ではウォルマートが、商品を探すための定番のEコマース「検索エンジン」あるいは「カタログ」だった。ウォルマートは昨秋、主要プラットフォームの1つであるOpenAIと契約を結び、顧客がChatGPT内でウォルマートから直接購入を完了できる会話型エージェントを構築することにした。

PayPalのようなオンライン決済手段によってEコマースが可能になってから、およそ四半世紀が経つ。当時、懐疑派はそれを一過性の流行だと切り捨てた。

現在でも、検索が死にゆくという考えを鼻で笑い、コンバセーショナルコマースなど一時の気まぐれだと見る小売業界の幹部を見つけるのに苦労はしないだろう。技術変化の速度は増す一方である。1年後には、そうした人々のうち、なお成功した企業を率いている者、あるいはオフィスを持っている者すら、多くは残っていないだろう。

forbes.com 原文

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