世界各地の大学が乗り出す「ソフトパワー」ビジネス
グローバルな影響力がどこへ向かおうとしているのかを知りたければ、政府機関や多国籍企業、テクノロジープラットフォームだけに注目するべきではない。大学に目を向けるべきだ。大学が誰を採用し、どこにキャンパスを開設し、どのパートナーを選び、どのように資金を調達し、世界にどう自己を提示しているかは、より大きなストーリーの一部になりつつある。
その物語は、高等教育の枠を超えて重要な意味を持つ。企業はグローバル人材を必要とし、政府は威信を競い、家庭は子どもの将来にどこで投資するかを決める。大学はそうした流れの中心に位置しているのだ。
ここ数年、私たちはグローバルなモデルが国や大陸を越えてどのように伝播し、組織の中に組み込まれていくのかを研究してきた。最新の論文では、大学を目標・戦略・構造を持つ組織として分析している。その中心にあるのが「アクターフッド(actorhood)」という概念だ。これは、組織が目的を発展させ、選択を行い、社会が期待するように行動するという考え方である。言い換えれば、私たちはアクターフッドを、目的意識を持ち、目標志向で動く組織の推進力として定義している。目標を持ち、それに沿って行動し、戦略・行動・構造を生み出す組織である。
この研究を進めるため、私たちは89カ国の500以上の大学における国際化の取り組みを調査した。このプロジェクトは、大学が国際化を図る際に実際に何を行っているのか、そしてなぜその選択肢が国によってこれほど大きく異なるのかを問いかけている。
かつて「国際化」は単純なものに聞こえた。アジア、アフリカ、あるいはラテンアメリカの学生が、米国や欧州へ留学するという構図だ。しかし、私たちの研究はより広範な地図を示している。教員の交流、パートナーシップ、海外プログラム、分校(ブランチキャンパス)の設置、そして「南南協力」の台頭だ。国際化において、学生の受け入れだけでなく、教員の流動性や学生交流プログラムを含め、グローバルサウス同士の協力関係が活発化していることが明らかになってきた。
なぜ「構造」が重要なのか
私たちはまた、構造と活動の違いも研究している。構造とは、国際化の目に見える設計図である。すなわち、部署、スタッフ、上級職、報告ラインを指す。活動とは、大学が実際に行うことである。交流、モビリティプログラム、提携、留学生募集、国際協力協定などが含まれる。
この違いを理解することは、背後にあるメカニズムを解き明かすために重要となる。競争の激しい国・地域において、大学はより幅広い国際的な活動を展開する傾向がある。そこでは、ランキングや評判、あるいは「世界水準の大学」という概念が強く意識される。一方で、よりリベラルな環境にある国・地域では、構造への「象徴的な投資」が多く見られる。具体的には、国際担当の役職の新設、組織階層における地位向上、組織内での公式な位置づけなどだ。
これは大学内部の配管のように聞こえるかもしれない。だが、それは戦略である。国際化担当副学長の存在は、小さなオフィスで1人が交流プログラムを担当している状態とは異なるメッセージを発する。言い換えれば、大学の戦略を理解するには予算を追えばよい。予算がどこへ向かうのか、そこに優先事項がある。
中国、ランキング、そして影響力の地政学
政治的な観点から見ると、各地域の大学が国際化をどのように位置づけているかを理解することが重要である。米国、英国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどのアングロサクソン系の教育制度では、国際化は学び、交流、経験、地球市民という言葉で説明されることが多い。一方で、アジアの一部、特に中国では、教員の流動性や国際協力により大きな重点が置かれている。
この違いは極めて重要だ。学生の交流や留学プログラムは、個人の経験や親近感を通じて影響力を構築する。これに対し、教員の流動性や研究パートナーシップ、協力協定は機関レベルで機能する。それらは誰が誰と協力するのかを決定し、どの知識ネットワークが拡大するのか、そして威信や影響力がどこに集中し始めるのかを形作っていく。
この変化は、変わりゆく地政学的な構図と結びついている。中国などの国々は、東南アジア、アフリカ、ラテンアメリカの大学とのつながりを構築している。その一部は「公平性と協力」としてアピールされているが、結果として新たな影響力の拠点を築くことにもつながる。
ただし、「ソフトパワー」という言葉の使い方には慎重になる必要がある。今回の論文では、適切に検証するためのデータが不足していたため、正式な分析には含めなかった。それでも、この視点を無視することは難しい。大学が地政学的なソフトパワーを反映しているのか、それとも地政学的なソフトパワーが大学に影響を与えているのか。ビザや資金調達、学生の流動性が政治的に敏感な問題となる中、この問いは極めて重要だ。
懸念材料もある。国際化はそもそも、学生や教員、思想が国境を越えることで相互理解を深めるという、コスモポリタンな(世界市民的な)理想から始まった部分がある。しかし、分極化が進む世界においては、国際化が逆に大学を地域的なブロックへと囲い込む可能性もある。「類は友を呼ぶ」のように、似た者同士が群れを作り始めるかもしれない。
米国発の「資金調達システム」
コーネル大学のナディーン・スキナー、スタンフォード大学のフランシスコ・ラミレスとの共著である2本目の論文では、まったく異なる部門に焦点を当てている。それは「ディベロップメント」、すなわち分かりやすく言えばファンドレイジング(資金調達)を行う部署だ。
この論文では、米国以外の437の大学を調査し、なぜ資金調達部署が普及しているのかを分析している。明快な答えは「資金」だろう。公的予算が圧迫される中、同窓生ネットワークやキャンペーン、寄付者、財団を抱える米国の大学は強力なモデルを提示している。
しかし私たちの発見は、その物語をより複雑にする。ディベロップメント・オフィスの広がりを促しているのは、大きな市場の力よりも、CASE(教育分野のファンドレイジング専門職を育成する国際的な非営利団体)のような専門職団体との結びつきであるように見える。
当初私たちは、市場化が進み市場原理の強い社会ほど、そこにある大学がファンドレイジングに積極的になるだろうと考えていた。だが、驚いたことに、実際にはその関係はほとんど有意ではなかった。
アイデアは、人、ネットワーク、研修、専門職の規範、そして肩書を通じて移動しているようだ。ファンドレイジング・オフィスの存在は、大学が自らを戦略的で、起業家的で、リソースを動員できる組織だと見なしていることのシグナルでもある。
それは同時に、モデルがいかに米国的であり続けているかを示している。ハーバード、スタンフォード、イェール、プリンストンは長年にわたり、世界の高等教育の卓越性のイメージを形づくってきた。多くの大学がそのモデルの一部を模倣してきた——公的資金の伝統が強い国においても。ただし、ファンドレイジングは依然として付加的な機能であり、大学の中核事業ではない。
リーダーたちへの教訓
私たちの研究は大学を対象としているが、国境を越えて活動するあらゆる組織に当てはまる内容だ。グローバルモデルは各地に伝播するが、そのままの形で定着することはめったにない。「ベストプラクティス」であっても、現地の政治、資金、歴史、そして野心と出会うことで、まったく別物へと変化する。だからこそ、大学を研究することは有意義なのだ。ほとんどの人が「大学とは何か」を知っていると思っている。しかし、組織内の選択は大きく異なる。誰がヒエラルキーの上位に立つのか、どのパートナーを重視するのか、どのような学生が必要なのか、どのように資金を調達するのか、そして国家の思惑がどのように組織の行動を規定するのか。
大学に対して、私たちはこう問いかける。国際化とは何なのか。主な目的は収入なのか。ランキングなのか。評判、知識、学生の経験、地球規模の理解、それとも国家の影響力なのか。その答えが、これからの大学のあり方を形作ることになる。
ビジネスリーダーもこれに関心を持つべきだ。なぜなら、彼らは大学が生み出す人材や研究、社会的信用、および世界規模のネットワークに依存しているからだ。政府は影響力を行使するために大学に依存し、寄付者はみずからのレガシー(遺産)を築くために大学を活用する。
大学は今もなお、中立的な学びの場であるかのように語るかもしれない。だが、混み合うグローバルな舞台において、大学はますます戦略的組織として振る舞っている。次のソフトパワーの一手は、ビザ申請書、キャンパス提携、ランキング指標、資金調達キャンペーンとともに現れるかもしれない。
スンア・サラ・リー(Seungah Sarah Lee)は、HECパリ・ドーハ・ビジネススクールのマネジメントおよび人事担当助教授。
ダニエル・ブラウン(Daniel Brown)は、HECパリの研究コミュニケーション責任者。



