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2026.07.25 07:44

本能で走るな──スタートアップがシリーズCで直面する「マインドセットの壁」

Adobe Stock

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初めてスケートボードを手にしたのは12歳のときだった。それは、私の世界の見方を変えた。スケートボーダーは早い段階で、世界は自分たちのためにつくられていないことを学ぶ。手すり、階段、駐車場はトリックのために設計されたものではない。それでも、他の人が障害物と見る場所に可能性を見いだすことを、私たちはやめない。

目の前にあるものを使い、その場で適応し、進みながら答えを見つけていく。同じマインドセットは、スタートアップを築くうえでも大いに役立った。スケートボードと同じく、スタートアップの構築には一定程度の、知見に基づく即興性が求められる。その場で意思決定を下す。思い切って踏み出す。転んでも、すぐに立ち上がる。

そのスケートボード的なマインドセットは、シリーズB企業の運営にも通じる。エネルギーに満ち、野心的で、あらゆることを試したくなる。そうした本能は、私の会社がプロダクトマーケットフィットを見つけ、販売提携を築き、新たなカテゴリーで地位を確立する助けとなった。そして私たちは2024年にシリーズBの投資ラウンドを完了した。

シリーズB企業では、新たな資本と高まりつつある自信があると、実験が標準になる。営業担当者をもっと採用すべきか。海外展開すべきか。新しいチャネルに投資すべきか。試してみて、何が起こるか見てみよう、となる。

その段階では、「早く失敗する」というマインドセットはなお機能する。しかし、企業をシリーズBまで導くスキルは、シリーズCに到達するために必要なものとは正反対であることが多い。そして十分に速く適応できなければ、完全に転倒しかねない。

現実を突きつけられた瞬間

私が危うく大きな失敗をしかけたのは、今年2月のことだった。私は、当時の新たな熱中対象であるエージェント型AIを構築するために必要なハードウェアを探して、州間高速道路405号線をあちこち走り回っていた。

私はAIへの熱狂に最近加わったわけではない。現在の盛り上がりよりずっと前の2018年から、その可能性を説いてきた。しかし今回は違って感じられた。現実世界のタスクを実行できるAIエージェントを構築するためのオープンソースフレームワークの存在を知ったのだ。それにより、ナレッジワーカーの1日を費やしている反復的だが必要なタスクの多くを自動化できる可能性があった。オープンソースの大規模言語モデルや音声インターフェースの進歩と組み合わせれば、未来を垣間見たように思えた。私は完全にのめり込んだ。

目当ての機器を見つけるまで3軒の店を回り、自分は大きなものをつかんだと確信してオフィスへ戻った。だが、現実を突きつけられるのは早かった。そしてそのプロジェクトは始まる前に終わった。

私たちが事業を行うのは医療分野であり、患者記録、HIPAAの要件、センシティブなデータを扱う。その環境でAIエージェントを訓練し導入することは、たちまちセキュリティとコンプライアンス上の悪夢となった。実験を実施する承認を得るだけでも、コンプライアンスチームとの広範な交渉が必要だった。リスクを最小化するため、すべてを隔離した。別の電話、別のSIMカード、別のコンピューターを用意した。システムは社内ツールや患者データへの接続を禁じられた。

それでも懸念は増え続けた。前に進もうとすればするほど、抵抗に直面した。振り返れば、警告サインは明白だった。私には潜在的な利益は本物だと思えたが、下振れリスクも同じく本物だった。規制産業では、リスクが見返りを上回っていた。

そこで私は、優れたシリーズBの運営者なら誰でもすることをした。早く失敗したのである。開始から2カ月で、導入前にプロジェクトを打ち切った。その過程で、AIエージェントが医療分野に適しているかどうかより重要なことを学んだ。好奇心があり、創造的で、境界を試すことをいとわない、事業構築を助けてくれた同じスケートボーダー的マインドセットが、今度は私を不要なリスクへと押しやっていたのだ。

シリーズBからシリーズCへの道のりで多くのスタートアップが直面する現実に向き合う時が来ていた。機会を発見するのに役立つ本能が、それを拡大するために必要な本能と常に同じとは限らない。成長には、発見とは異なるオペレーティングモデルが必要である。

シリーズCでマインドセットの転換が必要な理由

スケートボードと同じく、会社づくりも、リスクが高まるにつれて異なるアプローチを必要とする。シリーズBからシリーズCへの道のりでは、実験より実行が、直感よりシステムが求められる。20年以上の経験と、いくつかの白髪を車輪の下に抱えた大人として、間違ったタイミングで間違ったトリックをすれば、深刻なけがにつながりかねない。今重要なのは、自分のレパートリーの多さではなく、目の前の状況でどのトリックなら着地できるかを知ることである。

同様に、企業には収益を拡大するための再現可能な方法、明確な業務規律、長期成長に向けた基盤が必要になる。優秀な人材を採用し、走りながら考えるだけでは、もはや十分ではない。持続可能な成長には、プロセス、説明責任、そして繰り返し実行できるプレイブックが求められる。

最も大きな変化の1つは、ジェネラリストがスペシャリストにならなければならないことだ。特に、会社の初期を築いてきた人々にとって、これは難しい移行である。しかし創業者が6つもの役割を兼ねることは、もはやできない。創業者がパフォーマンスマーケティングを担うことはできない。CTOがエンジニアリングを率いながらコンプライアンスを監督することもできない。組織が成熟するにつれ、専門性は競争優位となり、役割は必然的により専門化していく。

同じ変化は意思決定にも当てはまる。直感は重要だが、もはや主要なオペレーティングシステムではあり得ない。創造性とエネルギーは、厳密な測定と組み合わせる必要がある。「うまくいっていない」は観察にすぎない。「どこで負けているのか、なぜ負けているのか、それを修正するには何が必要か」こそが、リーダーが責任ある意思決定を行うために必要な情報である。

その気づきにより、私たちのチームは重要な方向転換を行った。どの新施策を始めるべきかを問うのではなく、今ではまず、どの成果が最も重要で、それをどう測定するかを問う。2026年1月、私たちはOKRを厳しく見直し、3つの優先事項を特定した。リテンションの改善、成長の加速、そして市場におけるシェア・オブ・ボイスの拡大である。

現在は、すべてのチームに明確な目標が与えられ、期待値は明示され、成果は測定される。新しいアイデアを追いかける時間を減らし、機能することが分かっている取り組みを支えるシステムの改善により多くの時間を費やしている。要するに、私たちは成熟しつつあるのだ。

私は今もスケートボードに乗っているし、スケートボーダー的マインドセットを完全に捨てたわけではない。創造性、好奇心、リスクテイクはいまも重要である。しかしシリーズBが報いるのは、優れたトリックを持つライダーだ。シリーズCが報いるのは、あらかじめ計画され、訪れると分かっている課題に基づいた一連のトリックを最後まで実行できるライダーである。

forbes.com 原文

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