知的な人は過度に礼儀正しいわけではない
さらに興味深い意外な点は協調性という、通常は1つの特性として扱われる側面の内部に現れる。研究では協調性を全く正反対の2つの側面に分けている。
1. 思いやり:他者を助け、集団の幸福のために力を注ごうとする傾向のことで、認知能力と正の相関にある
2. 礼儀正しさ:社会の規則に従い、摩擦を避けようとする傾向のことで、認知能力と負の相関にある
同じチーム会議に出席している2人を想像してみてほしい。1人は思いやりがある。計画が実際に顧客の役に立つかどうかを心から気にかけているため、誰も口にしたくない気まずい質問を投げかける。
もう1人は礼儀正しい。同意するようにうなずき、場の緊張を和らげ、本当の意見は会議後の廊下で口にする。問題と向き合うために精神的なエネルギーを使っているのは2人のうち1人だけだ。もう1人は場の空気を整えるためにエネルギーを使っている。この違いは組織心理学者が「表層演技」と呼ぶものと一致する。表層演技とは物事を穏便に進めるために本心ではない感情を表に出すことだ。
学術誌『Journal of Occupational Health Psychology』に2011年掲載された研究では100件近い研究のデータを統合した。その結果、表層演技はウェルビーイングの低下、そしてその程度は小さいものの測定可能なパフォーマンスの低下と確実に結びついていることが明らかになった。場を取り仕切ることには実際には代償が伴うのだ。平和を保つことに気を取られていると、アイデアと真摯に向き合うための余力が減ってしまう。
知的な人は過度に慎重ではない
誠実性についても同様の二面性が見られる。単純に努力する性質を指す勤勉さは全般的に強い言語能力やかなりの知識と確実に結びついていた。この部分は直感通りだ。直感に反するのは、誠実性の別の側面である慎重さが習得した知識と負の相関を示したという点だ。
この結果は学術誌『Cognitive Science』に2014年に掲載された研究とも一致する。その研究では、新しい数学の問題について解き方を教えられる前に自分で苦労して考えた学生の方が、最初に解答法を示された学生よりも他の場面にも応用できる深い理解を得たことが明らかになった。もっとも、基本的な解き方はどちらのグループも同じ程度に習得していた。
規律正しく意欲的であることは知性を高めるようだ。一方で、過度に慎重で、規則に縛られ、間違った答えを出すことを恐れる姿勢は本来ならその規律によって得られるはずの知識を実際に身につけることを妨げているようだ。決して手を挙げない鋭い頭脳は紙の上では鋭いままだが実際には停滞してしまう。


