欧州北部の各地から、壮観な「夜光雲(やこううん)」の出現報告が相次いでいる。鮮やかな青白い輝きを放つ雲が宵闇に染まった空を照らし出す現象で、高緯度地域の夏の夜空の風物詩となっている。宇宙天気情報サイトSpaceWeather.comによれば、毎年恒例の夜光雲の発生がピークを迎える中、夜に輝く珍しい雲を撮影したとの報告がこのところ欧州北部で続出しているという。
夜光雲は夏場、水蒸気が中層大気まで上昇し、地球の空と宇宙との境目に漂う微細な塵の粒子を核として水蒸気が凍りつくことで生じる。これらの塵は、代表的な夏の天体ショーである「ペルセウス座流星群」などの流星群に由来する。
夜光雲の輝く夜空は、最も美しく珍しい夏の天文気象現象のひとつだ。夜光雲について、知っておきたいことをまとめた。
夜光雲とはどんな雲か
夜光雲は英語で「noctilucent clouds」という。語源はラテン語で、「夜に(nocti)」「光る(lucent)」を意味する。地球の大気圏で最も高い場所にできる雲で、地上約76~85kmの中間圏と呼ばれる大気層に形成される。そこは空と宇宙の境界に近い領域だ。
天気の変化をもたらす一般的な雲とは異なり、夜光雲はマイナス120度という極めて寒い環境で形成され、微細な氷の結晶で構成されている。これらの氷粒子は地球上空の高高度で流星体(流星物質)が燃え尽きた際に残された微細な塵の粒子が核となっており、日没後の空にきらめく青や銀色の模様を描き出す。
極めて高度の高い場所にできるため、夜光雲は地表に夜の帳が下りてからもしばらくは高高度に位置するため太陽光を受け続け、独特の輝きを放つ。
なぜ夏場に出現するのか
氷でできているにもかかわらず、夜光雲は主に夏に見られる現象だ。夏の間は水蒸気が上昇気流に乗って中間圏まで上がってくる。中間圏は非常に気温が低いため、水蒸気は冷やされて氷の結晶となる。核となる流星塵が絶えず供給されることも相まって、夜光雲の形成に最適な環境が生まれるのである。
北半球では5月下旬~8月上旬に出現しやすく、このうち6月と7月が北緯50~70度付近で最も頻繁に観測される季節となる。アラスカの広域、カナダ中部と北部、欧州北部と中部の広域で壮観な光景が目撃されることが多い。
いつ、どこを見るべきか
夜光雲が出現しやすい時間帯は、日の入り後または日の出前の約60~90分間だ。この時間帯は、太陽が地平線のすぐ下にあり、地上からは見えない太陽光が高高度の氷結晶を照らしている。
晴れた日に、北の地平線付近の低い位置を探してみよう。夜光雲は多くの場合、鮮やかな青色、銀色、または白色に輝き、繊細で波打つような筋を描いている。観測に特別な機材は必要ないが、双眼鏡があれば複雑な波状の模様をより詳細に観察できる。
夜光雲が最も観測されやすいのは北欧やカナダ、米アラスカ州だが、近年は観測条件が合えば米中西部や北東部などの比較的緯度の低い地域でも観測が報告されている。



