本記事内で記述された「ベルギー警察の捜査の結果、特定のゲームコンソールがテロリストの拠点から発見された」という事実は現状では未確認です。ベルギー警察担当者は、ISISが通常用いるであろうツールについて、彼の知る範囲で述べたのみです。
127名が死亡、300名以上が負傷(11月14日現在)したパリの同時多発テロの発生を受け、捜査当局は一連の犯行がどのように計画されたのかを探っている。その中で浮上したのが、犯人らがプレイステーション4を通信手段に用いていた可能性だ。
ベルギー捜査当局のJan Jambon氏は「テロリスト集団のISISは傍受が難しいプレイステーション4を通信に用いていた」と発表。「このデバイスの対傍受性能はWhatsAppを上回る」と述べた。
新型プレイステーションのリリースにあたっては、ユーザーのプライバシー侵害懸念が浮上していた。マイクロソフトのKinect等と同様、プレイステーションのカメラは他のユーザーに乗っ取られる可能性がある。テロリストらはその特性を利用し、メンバー同士の交信に使用した可能性がある。
暗号化されたテキストメッセージや通話と比べれば、むしろローテクな交信手段が、犯行グループにとっては安全な通話手段として利用されたかもしれないのだ。
プレイステーション・ネットワーク(PSN)経由のメッセージやボイスチャットがテロリストに利用される懸念については、過去にエドワード・スノーデンによっても指摘されていた。2013年にスノーデンは米国国家安全保障局(NSA) や CIAがビデオゲーム「World of Warcraft」内のテロリストの会議に潜入した際のドキュメントをリークしている。
従来の携帯電話に比べ、IPベースのボイスチャットは傍受が難しいことで知られている。2010年にFBIは全てのインターネット通信に対するアクセス権を要求したが、米連邦通信委員会(FCC)はこれを拒否。その後、政府機関は独自にネット上の通信を記録する手段を開発し、小児性愛者らがXbox Liveなどを用い、児童らに接触を図る犯罪の摘発などに用いていた。
しかし、捜査機関がPSNやXbox Liveで行われる通信を、どこまで傍受可能かは明らかにされていない。PSNは現在、1億1千万人の登録ユーザーを持ち、6500万人がアクティブユーザーだとされている。
テロリストらが『スーパーマリオメーカー』や『コール・オブ・デューティ』などの人気ゲームを交信に用いていたとしたら、FBIやNSAがそれを傍受することは非常に難しい。世界のゲーム仲間がつながるためのデバイスが、人類の敵たちに利用されているとしたら、極めて皮肉な話と言うほかないだろう。