社会人生活に足を踏み入れる若者のなかには、キャリアアップの道は単純明快だと思っている者も多いだろう。まずは懸命に働き、結果を出し、信頼を勝ち取り、会社への忠誠心を持つ。そうした行動を習慣化していけば、安定した身分が得られ、実力を認められて昇進につながる、と考えるのだ。
しかしこうした原則は、企業で昇進を勝ち取る過程の一部分しかカバーしていない。大半の職場には、その企業特有の不文律がいくつかあり、こうした暗黙のルールが昇進を左右する部分もあるからだ。
人材評価サービスを提供するPredictive Indexが、米国で働く従業員1000人を対象に行なった調査でも、「昇給や昇格、あるいはプロジェクトへの参加について、自分のスキルや仕事のスタイルが理解されなかったために、対象から外された経験がある」とする回答者は、全体の44%に上った。
これは、実績そのものに関する問題ではなく、実績の認知のされ方や、その人に対するイメージの問題だ。しかも現状は、レイオフやリストラ、企業の上層部から見た優先事項の変化、AI(人工知能)主導の変化などによって、安心して働くことがこれまで以上に難しくなっている。こんな状況では、ライバルに一歩先んじることは容易ではない。
こうした時、前述したような社内力学への理解があれば、企業で働くことの実態を、よりクリアな視界で捉えることができる。そうなれば、社内制度が報いてくれるのをただ待つのではなく、能動的に自分自身のキャリアを守り、切り開くことができる。
この点を頭に置いて、あなたのキャリアを左右しかねない「会社の不文律」を5つ、以下で紹介しよう。
1. 肩書が真の権力を示すとは限らない
制度上の権威と、実際の影響力は、常にイコールで結ばれるわけではない。肩書を持つ人物は、プロセスをコントロールする役割を持つ。一方、結果を生み出しているのは、信頼され、組織内の事情に通じ、肩書などの形式によらない非公式な信用がある人であるケースが多い。
組織図の上下関係を見るだけでは、実際に情報や信頼、影響力がどう伝わっているかはわからない。本当の意思決定過程を知りたいのなら、実際に決断を下す前に相談されている人たちに目を向けよう。具体的には、部署に関係なく議論に加わるよう促されている人や、正式に発表される前から今後の変更事項を知っているように見える人だ。
研究結果も、この点を裏付けている。『MIT Sloan Management Review』に掲載された、フォーチュン500企業と政府機関の23組織を結ぶ40以上の人的ネットワークを対象にした研究では、これらの組織の幹部は、自分たちが率いる組織の非公式な人的ネットワークを自身がいかに把握できているかについて、一貫して過信していることが判明している。
組織のヒエラルキーでトップに近いところに位置しているリーダーは、組織の非公式な構造を形作る日常業務に関わっていない場合が多い。そのため、「組織内で本当に影響力を持つ者を知っている」と確信している人ほど、実はそうした構造に最も疎くなりがちなのだ。
だからこそ、非公式な影響力の実態に注意を払うだけで、大半のリーダーにはないアドバンテージを手に入れることができるはずだ。



