特性の類似性が有利に働く領域
とはいえ、類似性が役に立たないというわけではない。前述の研究では1つの明確な例外が見つかった。それは価値観だ。政治的立場のような事柄については、幸福を予測する要素は理想化ではなく一致の度合いだった。中核となる信念についてカップルが互いにかけ離れていると認識するほど、その隔たりの方向性にかかわらず、関係に対する満足度は低くなる傾向があった。学術誌『Journal of Personality and Social Psychology』に2025年に掲載された研究でもこの傾向が裏付けられている。研究では数百組のカップルを追跡し、政治的な立場の違いが満足度の低下や親密さの減少、対立の増加と関連していることが確認された。
この区別によって、どのような類似性が本当に重要なのかが明確になる。ある人がどれほど魅力的に見えるか、その日どれほど親切そうに振る舞うかといった表面的な特性は相性が合うことで得られるメリットにはつながらない。真の相性がもたらすメリットはより深く、アイデンティティに関わるようなコミットメントだ。つまり価値観や世界観、そして2人がどのように人生を共に歩んでいきたいかを形作るものだ。
この傾向は性別を問わず驚くほど一貫しており、文化間でもかなり共通していた。もっとも、文化によってそのバランスには多少の差が見られ、近代化が進み個人主義的な社会では理想化や優しさといった特性がより重視される傾向にあるのに対し、近代化がさほど進んでいない社会では共通の地位や背景がより重視される傾向にあった。
完璧に相性の合うパートナーを探そうとする本能は理解できるが、それは間違った問題を解こうとしているのかもしれない。長期的な満足を予測するのは共通する特性の数ではない。2人が互いを寛容な目で見る習慣を身につけているかどうかだ。特に最も目につきやすく、些細な点を指摘しがちな特性について寛容な目で見る習慣が重要になる。
だからといって、ロマンチックな幻想が気休めの嘘というわけではない。学術誌『Journal of Personality and Social Psychology』に1999年に掲載された、研究者が「ミケランジェロ現象」と呼ぶものについての研究では、理想化されていると感じる人は往々にしてやがてそのイメージに近づくことが分かった。つまり、相手の最良の部分を一貫して見続けることは、見られているとおりのパートナーを実際に生み出すのに役立つのだ。
例外は価値観だ。2人を根本的に定義づける要素に関しては、文化が「あらゆる場面でそうだ」と想定している通り、依然として類似性が大きな役割を果たす。最も健全な関係はあらゆる点で似ていることの上に築かれるのではない。重要な点で考えが一致し、それ以外の点では寛容であることに基づいて築かれる。


