海外

2026.08.13 13:30

スペースXやOpenAIの巨額IPOが大きな影響 米国株市場を襲う流動性の懸念

Ogulcan Aksoy - stock.adobe.com

メガIPOラッシュは市場の資金を吸い尽くすのか? スペースXに続き、OpenAIやAnthropicがそれぞれ600億ドル規模の資金調達を目指して上場した場合、市場の資金は足りるのだろうか。これについてはウォール街でも見方は分かれている。ある欧州系投資銀行は、米株式市場は約70兆ドル規模と巨大であり、数千億ドルのIPOでも十分に吸収可能だと楽観視する。一方で、相次ぐ超大型IPOが既存のAI・半導体株からの資金流出を招き、一時的な価格の歪みやボラティリティの急拡大を引き起こすリスクは強く警戒されている。

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また、上場後の早い段階で既存株主のロックアップが段階的に解除される特例が設けられた場合、初期投資家などからの売り圧力が早期に市場に押し寄せ、株価の重荷となる懸念も存在する。

こうした状況は過去のバブル期のような投機的過熱を想起させるが、決定的な違いが存在する。それは、AIが期待先行の実体のないものではなく、現実に莫大な収益(Anthropicで年間ランレート300億ドル、OpenAIで200億ドルなど)をすでに生み出し始めている点だ。また、彼らが調達した巨額の資金はGPU購入やデータセンター利用料へ還流するため、半導体メーカーから建設業者に至るまで、バリューチェーン全体に強力な追い風をもたらす。

個人投資家がバブルに巻き込まれないための境目は、「刺激的なストーリー」や壮大なビジョンを鵜呑みにせず、バリュエーション/企業価値評価の目を持ち、ビジネスの本質を見極めることにある。過去のITバブルで永続的な価値を築いたのは、ルーターを売ったシスコシステムズやクラウドを構築したアマゾン・ウェブ・サービスであった。同様に、AI投資においても「新しい経済の参加者が利用せざるをえないインフラを誰が握っているのか」、そして巨額のインフラ支出を上回る粗利率を確保して収益化の道筋を描けるかという視点をもつことが、投機と投資を分ける最大の鍵となる。

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おおやま・のりゆき◎1994年慶應義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)に入社。2001年ゴールドマン・サックス証券、10年バークレイズ証券、12年から金融コンサルを経て現職に至る。国内外マクロ・ミクロの分析を行う。

文=大山季之

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