国内

2026.08.12 14:30

次のキオクシアはどこだ 中小型グロース株に託された日本の命運

Forbes JAPAN 2026年9月号は「次の成長株を追え」特集。日本経済を牽引する「次の主役」は誰か。フォーブス ジャパン編集部は、これまで大企業やスタートアップのランキング特集などを通じて、その担い手の活躍を追い続けてきた。今回、焦点を当てるのは、抜け穴となっていた中小型の上場グロース企業だ。

advertisement

大型株や一部の期待先行銘柄に脚光が当たる昨今の相場環境で、あえて今、見過ごされがちな中小型グロース企業に注目する理由。それは、投資妙味だけでなく、日本の未来を紡ぐことにほかならないからだ。


6月12日は、日本の株式市場にとって歴史的な日となった。半導体メモリ大手のキオクシアホールディングスの時価総額が、同日終値ベースで44兆3627億円となり、トヨタ自動車の43兆8389億円を超えて国内1位となったのである。株価急騰の背景には、米国ハイパースケーラーの未曾有のAIインフラ投資によるメモリ需要の逼迫で、同社の利益が爆発的に伸びるとの期待感がある。ただ、ここで注目したいのは、キオクシアが2024年12月に上場したばかりの企業だということだ。上場時の初値は公開価格を1%下回る1440円で、初値ベースの時価総額は7762億円だった。つまり、一時的にせよ時価総額1兆円未満のメモリ専業メーカーが、わずか1年半で重厚長大な並いる大型株を押しのけトップに躍り出たことになる。中小型からの実態を伴った爆発的な飛躍──その可能性を追うことが、今回の特集のテーマだ。

業績と株価のギャップ

なぜ中小型の上場グロース企業に目を向けるのか。それは、日本経済の未来を担う「次の主役」として、その多くが過小評価されている可能性があるからだ。これは主要株価指数を見れば明らかだ(図参照:下)。主要225社で構成する日経平均株価は過去5年間で2.5倍に拡大し、この6月には一時7万円の大台を突破した。一方の東証グロース市場250指数は5年前の6割程度の水準に落ち込んでおり、ここ数年は横ばいで推移している。

advertisement

このギャップは、企業の売り上げや営業利益とは別の要素が色濃く影響している。日経平均に採用される大型のプライム上場企業は、23年の東証による「資本コストや株価を意識した経営」の大号令以降、自社株買いや高配当などの株主還元策を強化するとともに、政策保有株の売却などのROE(自己資本利益率)改善策も打ち出し、PBR(株価純資産倍率)1倍割れの是正に積極的に乗り出した。一方のグロース企業は、21年末からの世界経済の「金利ある世界」への移行を受けて、それまで花形だったSaaSなどソフトウェア企業のPSR(株価売上高倍率)やPER(株価収益率)が大幅に低下。業績は堅調に伸びていても、マルチプル(評価倍率)自体が落ち込んだことで株価水準が軟化せざるをえなくなった。

足元の市場環境は、円安の進行や上記の大規模AIインフラ投資も相まって、半導体セクターを中心に大企業業績はおおむね良好であり、大型株が先導する相場が続いている。投資家の立場では、相対魅力度の観点から、株主還元が充実し、業績も期待できる大型株を優先したくなるのは当然だろう。だが、市場別の今期業績予想の集計を見ると、プライム市場の営業利益の前期比11.1%増に対し、新興市場は51.4%増と高水準(『会社四季報2026年3集』調べ)にある。中小型のグロース株は、本当に適切に評価されていると言えるだろうか。市場から見過ごされている「次の成長株」が、実は数多く眠っているのではないか。

次ページ > 日本の命運はグロース企業の成長にかかっている

文=眞鍋 武 イラストレーション=Kouzou Sakai

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事