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キャリア

2026.08.05 13:30

AI世紀の新たな学びの場

昨今、「AI時代」「AI革命」といった言葉が世に溢れているが、筆者は、この時代を、敢えて「AI世紀」と呼んでいる。なぜなら、「機械文明の世紀」「情報文明の世紀」に続き、この21世紀には、間違いなく「AI文明の世紀」が始まるからである。

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そして、このAI世紀には、従来の「教育」の在り方が、根本から変わっていく。

なぜなら、これからのAI世紀における「教育」の役割は、「AIでは絶対に代替できない、人間だけが持つ高度で成熟した能力を、さらに高めていく」ことになるからである。

では、それは、いかなる能力か。

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それは、人間だけが持つ「複雑な自我・エゴ」と「繊細な肉体・身体」を自分も持ち、それゆえ、そこから生まれてくる相手の「細やかな感覚・感情」を推察し、感受し、共感し、相手に対して適切に対処することのできる能力である。

実際、これまでも、世の中の「優れた仕事」は、それが、商品やサービスの開発であれ、営業ビジネスや接客ホスピタリティの仕事であれ、リーダーシップやマネジメントであれ、さらには、芸術・音楽の創造や文章の創作であれ、例外なく、この能力を十全に発揮することによって生まれてきた。

特に、実社会における「優れた仕事」は、相手の状況や立場、心理や心境を推察し、感受し、深く共感することによって生まれてきた。例えば、「この商品は、使う人に身体的な負担を与えないか?」「このサービスは、受ける人に安心と快適の感覚を持ってもらえるか?」「このマネジメントは、部下の成長意欲を高めるものか?」といったことを、「自己中心」ではなく「相手中心」の目線で考えることによって、「優れた仕事」は生まれてきた。

筆者は、こうした人間だけが発揮できる高度な能力を、「状況推察力」「心理感受力」「対人共感力」に基づく「成熟した人間関係力」と呼んでいるが、AI世紀には、この「成熟した人間関係力」を身につけた人材こそが、求められ、活躍する。

しかし、それにもかかわらず、我が国の教育の現状は、いまだに、激しい受験競争、偏差値による評価、知識修得・論理思考の偏重といった旧態依然の教育になっており、AI世紀に求められる人材の育成には、全くなっていない。

いや、むしろ、現在の受験競争と偏差値教育は、常に「他者との競争」「他者との比較」という意識を植え付けてしまっているため、この教育から生まれてくる「勝ち組」の「優秀な人材」の中には、「自己中心的発想」と「他者への共感の欠如」という問題を抱えている人材が、決して少なくない。

では、この「状況推察力」「心理感受力」「対人共感力」に基づく「成熟した人間関係力」を身につけ、顧客ニーズの満足や社会課題の解決に取り組める人材を、いかにして育てることができるのか。

次ページ > 教育関係者が、まず理解すべきこと

文=田坂広志

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連載

田坂広志の「深き思索、静かな気づき」

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