「これまでに数百人とフランス料理会食した」という食の達人であり著名フーディー、レストラン紹介メディア「タケマシュラン」主宰のタケマシュラン氏。食べログフォロワー数は2万人に迫り、紹介した店は「即日予約が取れなくなる」とも言われるほどの、恐るべき影響力を持つグルメインフルエンサーだ。
料理のおいしさのみならず店の雰囲気、サービス、哲学などをオールラウンドに見る氏の辛口グルメレビューは絶妙なユーモアと皮肉にくるんだ容赦ない舌鋒に定評があり、絶大なファン層の厚さを誇る。
Forbes JAPANでは、書き下ろし寄稿で氏の哲学思想を紹介していく。好評を博した前回の 美食家が説く『ノンアルコールの流儀』、「酒注文前提」の店での知恵と教養 に続き、今回は「食通の友人がいたらどう使うか?」について。読者諸兄はそれぞれの美意識、経験に照らしつつ、参考にしていただきたい。
「フーディーの知人」がいたらどう活用するか
今回取り上げるのは、身近にいる食通、フーディー、グルメな人の活用法です。
貴方の交友関係を思い浮かべてみてください。会社の同僚、学生時代の友人、趣味のコミュニティ。その中に一人や二人、「食に詳しい人」「やたら美味しい店を知っている人」が必ずいるはずです。そして、お店選びに迷った時、貴方は無意識のうちにその人物を頼っているのではないでしょうか。「いい店ない?」と。
これ自体は、何もおかしなことではありません。ネットの口コミよりも、信頼できる知人の実体験に基づく推薦の方が、遥かに精度が高いことは誰もが知っています。むしろ身近にそうした人脈を持っていることは、一種の財産と言ってもいいでしょう。
しかし、ここで一つ問いを立ててみたいのです。貴方のその「聞き方」は、本当に相手から最良の回答を引き出せているでしょうか。同じ「いい店ない?」という一言でも、聞き方ひとつで返ってくる答えの質は驚くほど変わります。手ぶらで丸投げされた質問と、きちんと状況が整理された相談とでは、相手の本気度がまるで違うからです。
こう書いている私自身、この連載を続けている都合上、周囲から「食に詳しい人」の一人として扱われ、「どこかいい店ない?」と聞かれる場面が少なくありません。そして正直に告白すると、その「聞かれ方」の巧拙によって、私が本気で店を探すか、当たり障りのない一軒を適当に返すかは、天と地ほど変わります。今回は、そんな「頼られる側」の本音を交えながら、身近な食通をどう頼れば互いにとって幸福な関係を築けるか、一緒に考えていきたいと思います。
まずは、私(聞かれる側)が困ったエピソードを以下にご紹介しましょう。



