リーダーシップ

2026.07.24 09:42

自動化の次なる波は「スピード」ではなく「適応力」

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長年にわたり、企業は予測可能なシステムを模倣しようと、反復的なタスクを自動化するツールを求めてきた。その業務が広範なデジタルワークフローであれ、カスタムソフトウェアの出力であれ、自動化は処理能力の向上と摩擦の軽減に貢献してきた。しかし、自動化は新たな段階に入りつつあり、効率性といった狭い評価基準だけではもはや不十分となっている。

今日のビジネスリーダーは、サプライチェーンや顧客の期待が一夜にして変わり、人工知能(AI)の能力が月単位で変化するシステムのなかに投げ込まれている。労働力不足は組織にレジリエンス(回復力)を再考させ、経済の不確実性は俊敏性と変化のスピードに関する問いを迫っている。

同時に、海外製造への依存を減らし、国内拠点を拡大しようとする「リショアリング(生産回帰)」のトレンドも起きている。これにより、企業はスピードや効率性を損なうことなく、製造環境を近代化し、俊敏性を高め、自動化機能を拡張するというさらなるプレッシャーに直面している。

問題は、グローバルな競合他社、特に工場自動化に積極的に投資してきた中国などの国々が、依然としてコストや生産性の面で大きな優位性を持っていることだ。リショアリングの道を選択する製造業者にとって、競争力は、適切な人材とハイテク自動化の組み合わせから生まれる可能性が最も高い。

筆者は先日、エクリプス・オートメーション(Eclipse Automation)のCEOであるスティーブ・マイ氏に、企業が予測可能で収益性が高く持続可能な運営を維持しながら、より俊敏であるよう迫られるなか、業界全体で工場の自動化戦略がどのように変化しているかについて話を聞いた。

「5年前、多くの企業は工場の自動化を主にコスト効率化の取り組みと捉えていた」とマイ氏は説明する。「現在では、適応力も同様に重要になっている。企業は、システム全体を再構築することなく、変化する需要や労働力不足、シフトする顧客の期待にどれだけ迅速に対応できるかを模索しているのだ」

業界の枠を超える優先事項となる「適応力」

だが、この現象は製造業の枠をはるかに超えて広がっている。

金融サービス企業は、絶え間なく予測不可能な規制変更に対応するワークフローを自動化している。ヘルスケア企業は、予測できない患者の流入やスタッフ不足に対応するためのワークフローを自動化する。小売業者は、高度なシステムを活用して、在庫やフルフィルメントのシステムを常に自動で調整している。ソフトウェア企業は、ビジネスの変化に継続的かつ自動的に適応できる、AI搭載の自動化を何層にも重ねて社内プロセスを再構築している。

共通するテーマは、「静的な自動化」は過去のものになりつつあるということだ。

多くの組織にとって問題なのは、自社の重要な部分が何十年も前のプロセスやシステムに基づいていることだ。その結果、今日の労働環境のスピードに追いつけなくなっている。過去1世紀にわたって用いられてきた工場モデルは、硬直性、予測可能性、そして静的な生産環境に焦点を当ててきたため、混乱が生じた際に組織の手足を縛る結果となっている。

現代の組織には、市場、労働力、サプライチェーンなどの状況に適応できる自動化ソリューションが必要である。時代遅れで硬直したプロセスに合わせるために、システムが企業側に変化を要求すべきではない。

標準化よりも柔軟性の価値が高まる理由

しかし今日、こうした柔軟性向上の推進は、企業による工場自動化への長期的な投資のあり方を変えつつある。高度な標準化を取り入れた多くの企業が、後に過剰に最適化された運用の落とし穴に気づき、変化に対応できなくなったのだ。

エクリプス・オートメーションのコマーシャル・オペレーション担当バイスプレジデント、マーク・フエンテス氏は、運用の整合性と意思決定のスピードとの間の緊張関係が、今後さらに大きな課題になると考えている。

「企業が今日直面している最大のリスクの1つは、あまりに硬直的な自動化環境を構築してしまうことだ」とフエンテス氏は言う。「技術サイクルは速まり、顧客の期待も急速に変化している。企業が必要としているのは、数年ごとに運用を完全にリセットすることなく、進化できるシステムだ」

こうした柔軟性は、企業が既存のプロセスを自動化するために単に予測分析を利用するだけでなく、社内ネットワークにAI機能を組み込むようになるにつれて、ますます重要になっている。この移行により、ネットワークは新しいインプットに自動的に適応し、ワークフローを変更し、変化するビジネスの優先事項に対応できるようになる。

エクリプス・オートメーションのプレジデント、マイク・フィッシャー氏は、自動化を導入する企業は、短期的な生産性よりも、長期的なレジリエンスに焦点を当てつつあると指摘する。「議論は『このプロセスをどう自動化するか』から『ビジネスの変化に合わせて適応し続けるシステムをどう構築するか』へと移っている」と同氏は説明する。「これは、10年前の多くの組織が持っていたものとはまったく異なる考え方だ」

AIが加速する「適応型システム」へのニーズ

オーロコマース(OroCommerce)のCEOであるジェアリー・カーター氏は、適応力が企業の自動化を検討する際の中核になると指摘する。「自動化から最大の利益を得る組織とは、プロセスを継続的に進化させることができる組織だ。自動化はもはや、一度導入すれば終わりのものではない。ビジネスとともに進化させていくべき、継続的な能力なのだ」

多くの組織は、既存のシステムの上に単にAIを重ね合わせるだけでは、俊敏性は生まれないことに気づき始めている。真の柔軟性には、技術、リーダーシップ、業務戦略のより深い整合が必要だ。

マイ氏は、このマインドセットのシフトが、今日の企業組織の内部で交わされる最も重要な議論の1つになっていると考えている。

「自動化は、もはや固定されたインフラプロジェクトと見なされるべきではない」と同氏は語る。「最も強力な長期的価値を生み出している企業は、後から調整するのが困難になるような硬直したプロセスに自らを縛り付けるのではなく、進化できるシステムを設計している」

自動化の未来は「スピード」ではなく「スマートな投資」を行う企業に

近代化へのプレッシャーにさらされている組織にとって、もはや問いは「自動化すべきか否か」ではなく、「いかに確信を持って自動化するか」である。

それにもかかわらず、多くの企業はどこに最大のチャンスがあるかを十分に理解しないまま、自動化に数百万ドルもの投資を行っている。ビジネスリーダーは、代替案と比較してどのテクノロジーが最も価値をもたらすのか、また実際の運用でどのように機能するのかを見極めるのに苦労している。その結果、不十分な情報に基づく投資、期待外れのシステム、そしてコストのかかる軌道修正といった事態が頻発している。

次世代の自動化をリードする組織は、それを技術的な購入としてではなく、ビジネスへの投資として管理する。先見性のあるリーダーは、データに基づく適切な計画、プロセス評価、そしてビジネスケースの検証が整うまで、設備投資に数百万ドルを投じることはない。

混乱が日常化するなか、組織が成功を収める唯一の方法は、追求すべき自動化の形態についてスマートな選択をすることだ。これは多くの場合、資本投資を行う前にリスクを軽減することを意味する。そうすることで、導入されたシステムが現在のビジネスだけでなく、将来的に変化していくビジネスをも確実に支えるようになる。

自動化の次の波は、物事をより迅速に行うことではなく、最初の1ドル(約1万未満円)を費やす前に、より優れた意思決定を下すことなのだ。

forbes.com 原文

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