興味深いことに、ロシアは自国版バーバ・ヤガーを生み出すのに難儀している。ロシアのメーカー各社はさまざまな製品を発表してきたものの、どれも官僚的な調達プロセスをクリアして広く配備されるには至っていないようだ。
ウクライナの爆撃ドローンはすでに、操縦士が目標をロックオン(捕捉・追尾開始)できるようにする高度な照準システムを搭載している。このシステムは高度や偏流(風の影響)、目標の移動を自動で補正・調整し、驚嘆すべき命中精度を実現している。しかし、ファイアフライはこのドローンの能力をもう一段高く引き上げるものだ。
ファイアフライ誘導システム
ファイアフライ・システムは、弾薬に装着する誘導ユニット(操舵翼付き)と、ドローン本体に搭載されるユニットで構成される。操縦士はドローンのカメラを通じて目標をロックオンする。その後、システムは落下する爆弾を追跡しながら、その位置を逐次修正し、目標と一致するように誘導していく。
ファイアフライの試験投下の動画では、インターフェイス上に爆弾の進行方向と速度を示すマーカーが表示され、それが刻々と更新・補正されていく様子が確認できる。
開発元によれば、ファイアフライは昼夜を問わず高度200~500mから目標を攻撃でき、条件に応じてCEP(半数必中界)0.5~2mという精度で命中するという。これほどの高い精度であれば車両への命中はほぼ確実であり、対人攻撃でも、目標の人員を間違いなく破片爆弾の致死半径内に収めることができる。
動画には高度約300mからの精密攻撃の映像が含まれるが、ウクライナ国防省の発表では高度800mからでも精確に攻撃できるとされている。今後の改良型ではさらに有効性が高まるかもしれない。
これほどの高高度から精確に爆弾を投下できれば、爆撃ドローンは小火器の射程をゆうに超えた位置から攻撃できることになる。また、有効範囲が概して数百mに限られるジャミング(電波妨害)の有効性も大幅に低下するだろう。
さらに言えば、6月に確認された杭形のドローン用地中貫通爆弾も、より高い高度から投下すれば有効性が高まりそうだ。こうした爆弾は遅延信管を採用し、地中を1mかそこら貫通してから爆発することで掩壕などの地下施設を攻撃できる。
ある情報筋によれば、ファイアフライ1個あたりの価格はわずか1万500フリブニャ(約3万8000円)だという。この種の弾薬は大量に必要になるので、こうした低コストが肝になる。西側式の精巧な誘導弾は、ウクライナにとっては高価すぎる。たとえば、通常のロケット弾にレーザー誘導ユニットを追加しただけの簡素な兵器であるAPKWSは、従来型ミサイルの低コストの代替手段とうたわれているが、それですら1発あたり8万ドル(約1300万円)以上する。これは爆撃ドローン1機の価格よりも高い。


