テクノロジー

2026.07.30 13:00

ニチレイやアサヒの被害規模から見えてくる、「時代遅れ」になるセキュリティ予算の考え方

stock.adobe.com

stock.adobe.com

ニチレイでのサイバー攻撃被害によって、在庫切れによるメニュー制限から営業時間短縮といった形で、外食産業や小売業などさまざまな業界に影響が広がっている。昨年も、サイバー攻撃による破壊的活動によって、生産活動や物流が停止し、その結果、サプライチェーンや社会経済に影響が出るという深刻なインシデントが発生した。

セキュリティインシデントの中でも、近年最も深刻な脅威がランサムウェアであることに異論はない。業務上不可欠なシステムやデータを使用不能にして事業継続を困難にすることで、復旧の見返りに身代金を要求するものだ。生産管理のプロセスから会計処理に至るまで、現代の企業活動がシステムとデータに深く依存している現実を逆手に取った手口だ。

インシデントの影響範囲の拡大と長期化

民間企業の26%が2025年にランサムウェアによる被害を経験しており、特に製造業における被害は35%と、非製造業の21%と比較しても突出している。被害状況を深掘りしてみると、近年のセキュリティインシデントの全体的な傾向として、特に経営層が無視することができない3つのトレンドがある。

1つ目の特徴が、事故が発生した際の影響の拡大だ。セキュリティインシデントの実に95%で、組織の事業継続に影響が発生している。特に、ランサムウェアによる身代金要求型のサイバー攻撃を経験した場合、生産活動・サービス提供に影響が発生したケースは65%と最も多く、ランサムウェアではないケースの38%と比較してもその影響は顕著だ。

システムやデータが侵害されることでビジネスプロセスが停滞し、生産活動の停止や受発注・会計処理といった組織の根幹をなす業務の停滞など、実害につながる確率が高いとも言える。組織内の多種多様な業務に影響を及ぼすのが特徴だ。

社外のステークホルダーへの影響も見逃すことはできない。納品遅延といった事態が発生すれば、社外のステークホルダーの機会損失や逸失利益といった影響も発生する。結果的には、影響を受けたステークホルダーへの違約金、場合によっては訴訟や損害賠償といった事態につながる恐れもある。

2つ目は、これらの事業継続や組織運営への影響自体が長期化する点だ。特に、ランサムウェアの場合、前述のような事業影響は平均54日継続しており、そうでない場合の平均36日と比較して1.5倍の違いが見られる。業務上不可欠なシステムやデータが使用不能になることで、手作業での対応にシフトする必要性が生じたり、業務システム自体の復旧が長期化したりすることで影響が継続するのが特徴と言える。

次ページ > 改めて考えたいセキュリティインシデントの経済的影響

編集=安井克至

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事