テクノロジー

2026.07.30 13:00

ニチレイやアサヒの被害規模から見えてくる、「時代遅れ」になるセキュリティ予算の考え方

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ランサムウェアへの対策として、バックアップに注力している企業も見られるが、バックアップデータ自体が被害を受けたりすることで、復旧できたケースは半分にも満たないという現実がある。また昨年発生したインシデントでも、バックアップから復旧可能であるにもかかわらず、全面復旧まで最大半年を要した点は見逃すことはできない。「バックアップから戻せればいい」という理屈はもはや通らない。

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改めて考えたいセキュリティインシデントの経済的影響

3つ目の特徴が、被害を受けた場合の経済的影響の拡大だ。民間企業がランサムウェアの被害を受けた場合、インシデントの対応コストは平均6億6000万円と、そうでない場合の1億7000万円と比較して3.9倍の違いがある。事故原因の究明や影響範囲の特定に要する調査費用はもちろん、使用不能になったシステムやデータを復旧させるためのコストなど、様々な形で経済的なダメージが与えられることになる。

経済的な影響としては売上への影響も見逃せないだろう。昨年発生したインシデントによる影響で、アサヒグループホールディングスでは前年比約447億円減(前年比1.5%減)、アスクルでは前年比約810億円減(前年比16.8%減)となっている。海外に目を向けると、ジャガー・ランドローバーでは、ランサムウェア被害で生産プロセス全体が止まった影響で、前年比約1兆3000億円減、下げ幅としては前年比21%減となっている。

企業活動がサプライチェーンの中で行われている以上、サプライヤーや販売網といった他社の機会損失、売上への影響も無視することはできないだろう。英国サイバーモニタリングセンターでは、ランサムウェア被害によって英国全土で5000社以上、約4000億円もの経済的影響が発生する恐れがあると発表していた。

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ジャガー・ランドローバーの事故では、サプライヤーの倒産や失業といった懸念が高まる中で、英国政府は約3000億円もの公的資金援助に動く事態にまで発展した。今回のインシデントでも、欠品による店舗での営業時間短縮、メニュー変更、販売停止など、様々な企業のビジネスに影響が発生している点も、企業におけるサイバーセキュリティの重要性を考える上では改めて注目すべき観点だろう。

経済的影響という観点では、上場企業の株価、時価総額への影響も無視できない。昨年事故が発生した2社の株価は、いずれも事故発生後6月中旬までで20%前後の下落傾向を見せていた。同時期の日経平均株価は40%以上の上昇を見せる中での下落だ。必ずしもサイバー攻撃被害の影響だけではない複合的な要因も考えられるが、セキュリティインシデントがもたらす経済的影響の観点では、株主価値の毀損も無視することはできないだろう。

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編集=安井克至

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