ソニーが環境配慮の次なる一手として、従来とは異なるアプローチによる新しいバイオマス原料を使った再生プラスチック材料を、三菱商事を含む14社による共同プロジェクト「Creating NEW from reNEWable materials」から生み出した。その材料は現在、ソニーのオーディオ・ビジュアル製品から採用が始まっている。
この新しい再生プラスチックが製品にもたらすメリットや、ソニーが従来から開発してきた再生プラスチックとの違い、そして複雑なサプライチェーンを構築してまでソニーが目指す環境負荷低減の取り組みを取材した。
ソニーの新しいリニューアブルプラスチックとは
ソニーグループは、2050年までに環境負荷ゼロを目指す長期の環境計画「Road to Zero」を掲げている。その中核には「新たな採掘資源の使用ゼロ」にするという目標がある。この取り組みの中で、同社はこれまでにもCDディスクや水ボトルの廃材を再生する独自のプラスチック材料「SORPLAS(ソープラス)」の導入を積極的に進めてきた。
しかし、マテリアルリサイクルには技術的な限界もあった。使い終わったプラスチックを砕いて溶かす手法では、高い透明度が求められる部品や、微小な不純物が混じることも許されない精密な光学部品に適用することが難しいからだ。
そこでソニーが新しく着目したのが、使用済みの食用油などの廃棄物由来から得られるバイオマス原料を活用する「リニューアブルプラスチック」だ。ソニーはこの新しい再生素材に、「ソープラス」のような固有名称を与えていないため、本稿の中ではこれをリニューアブルプラスチックと呼ぶことにする。
新素材を採用したソニーのプロダクト
最大の特徴は、従来の化石燃料から作られるバージン(新品の)プラスチックと、全く同等の品質と性能を持つ点にある。不純物の混入がなく、物理的な特性や耐久性も変わらない。そのため、これまで再生材に置き換えることができなかった高機能部品のグリーン化も可能になる。
新しいリニューアブルプラスチックは、すでにソニーの主力オーディオ・ビジュアル製品に採用されている。それぞれに高い品質基準があり、技術的な課題を乗り越えた末に導入された。3つの事例がある。
ひとつはワイヤレスイヤホンの「WF-1000XM6」だ。本製品のケースの一部にリニューアブルプラスチックを使用している。
オーディオ機器は筐体の素材が音響特性や耐久性に直接的な影響を与える。本機の設計担当者は「素材を変えることで音質や長期的な信頼性が変化してはならないという、厳しい制約の中で開発を進めた」と振り返る。



