ソニーの知見とネットワークを拡大する
ソニーはこれまで、独自に開発した再生難燃プラスチック「SORPLAS」を他社にも外販・提供し、業界全体の環境負荷低減に寄与してきた。では、今回構築したサプライチェーンから生み出されるリニューアブルプラスチックについても、外販を行うのだろうか。
この点についてソニーに確認したところ、材料そのものをソニーが外販する予定はないとの回答だった。一方では、本プロジェクトで培ったリニューアブルプラスチックの導入やサプライチェーンの可視化に賛同し、自社製品への採用を検討する企業に対しては三菱商事が窓口となる。
各社には、今回の取り組みに参画するほか、独自のサプライチェーンを構築するという選択肢もある。こうした動きを通じて、業界全体で環境負荷の低減に向けた取り組みを広げていく考えだ。ソニーは、知見やネットワークを自社で独占するのではなく、より多くの企業へ取り組みが波及し、社会実装が進むことに期待を示している。
ソニーの大場氏も次のように語った。
「地球規模の環境課題を解決することは、当然ながらソニーだけではできません。今回のプロジェクトにより、私たちがしっかりと源流まで遡ってどのような材料を使うかを把握し、サプライチェーンを可視化する取り組みを示しながら、その効果を証明していくことが大切であると考えています」
事業継続計画としてのマテリアル戦略
リニューアブルプラスチックへの転換は、環境貢献という側面が強調されがちだが、企業防衛のための強靭なリスクマネジメント、あるいは事業継続計画としての側面も強く持っている。
昨今の中東情勢の緊迫化など、地政学的なリスクは高まる一方であり、特定の地域に依存した化石燃料の供給網は、常時価格高騰や供給途絶の不安と隣り合わせにある。今回のソニーの取り組みも、マスバランス方式を採用している現状では完全に石油依存から脱却できたわけではない。だが、バイオマスという「化石燃料以外の代替ルート」を開拓し、それを組み込んだサプライチェーンを構築・可視化したことは、将来的な資源ショックのリスクを低減する有効な手段であると言える。
取り組みはすでに「環境のためにコストを負担する」という段階を越え、「事業を止めないために新たな素材を開拓し、それを支えるサプライチェーンを再構築する」という次のフェーズを見据えている。ソニーと三菱商事、そして14社のパートナー企業が切り開いたこの道筋は、日本の製造業が持続可能な成長を実現するための重要な指針にもなるはずだ。
連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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