4〜5歳児は、問題解決の際に人からの声かけによって、あきらめずに頑張れる「粘り強さ」を高めるという。それをロボットに置き換えたらどうなるか、大阪大学が検証を行ったところ、人と同様にロボットでも子どもの粘り強さが向上することがわかった。まったく同じ音声をパソコンで流した場合は効果が得られなかった。ロボットの存在感が大きく関与しているようだ。
大阪大学大学院人間科学研究科の石川萌子招へい研究員らによる研究グループは、発話、身振り、視線の動きを通して幼児と自然にやりとりができる遠隔操作のロボット「ロボちゃん」を用意し、約200人の子どもを対象に検証を行った。子どもには、開けられない木箱を渡し、それを開けようとどれだけの時間頑張れるか測定した。それを「粘り強さ」の指標としている。

実験は、子どもが1人で個室に入り、ランダムに選ばれた特定の条件で行われた。条件は次の4つ。1つは、事前の2分間、ロボットと会話をして交流をはかり、作業開始後は時間経過を通知する(IV)。2つめは交流のみで時間経過の通知はしない(I-only)。3つめは交流なしで時間経過の通知のみ行う(V-only)。4つめは交流も経過時間の通知もしない(None)。さらに、人間が交流と時間通知を行う場合(Human)、パソコンから時間通知の音声だけを流す場合(PC)、そして比較対象のための、ロボットがいない場合(Baseline)での実験も行った。
時間経過の通知がある条件では、「20秒だよ」、「30秒だよ」という具合に子どもに時間を伝えた。また手を休めたときには「どうしたの?」などと作業を促す声かけも行っている。
その結果、もっとも高い粘り強さが示されたのはHumanだったが、条件IVも、それに近い高い成績が示された。もっとも低かったのはBaseline条件で、I-only、None、PCも、それとほぼ同等の低さだった。つまり、人または、人のように心を通わせたロボットによる時間経過の通知があるかないかで、子どもの粘り強さが大きく変わったことになる。
子どもは声かけにより、自分が頑張っていることを実感し、より粘り強く箱を開けようと努力を続けるとのことだ。ただしそれには、目の前に人やそれに準ずる存在が必要となる。言い換えれば、少なくともこの実験においては、交流によって人間と同じ存在として受け入れられたロボットは、人の代役になれることを示したわけだ。
幼稚園や学校などのさまざまな場面で、「子どもの困難への挑戦を支える存在として、ロボットの活用が期待されます」と研究グループは話している。
出典:大阪大学 人間科学研究科鹿子木研との共同研究:ロボットが幼児の粘り強さを高めることを実証 Social robots' verbal time updates facilitate children's persistence in challenging tasks: A comparison with humans



