人間の外見上の特徴はほとんど、生まれるずっと前に決まっている。目の色、耳たぶの形、指紋のパターン。これらは早い段階で決まり、その後も変わらない。一方、そばかす(雀卵斑/夏日斑)は異なる性質を持つ。
人は受胎の瞬間から、その遺伝的素因を持っているが、もし幼少期のすべてを屋内で過ごしたとしたら、その兆候が現れないこともある(遺伝性のそばかすは、紫外線を浴びる3歳位から出始め、思春期が終わる頃には落ち着くとされている)。しかし、強い日差しの季節を過ごすと、鼻や頬にそばかすが現れ、冬になると再び消えていく。遺伝的でありながら、周囲の環境にこれほど敏感に反応する人間の特徴はほとんどない。
その二面性こそが、そばかすの謎のすべてだ。ある部分は遺伝によるものであり、別の部分は毎年、紫外線との駆け引きによって決まる。
そばかすの遺伝子
遺伝的な要因は、MC1Rと呼ばれる遺伝子に端を発する。米国立医学図書館が提供する遺伝医学情報サイト「MedlinePlus Genetics」にも記載されている通り、メラノサイトと呼ばれる色素産生細胞の表面に存在し、どの種類のメラニン(褐色または黒色の色素)を生成するかを決定する一因となっている。
メラニンは単一の物質ではなく、主に2つの形態がある:
1. ユーメラニン(Eumelanin)は濃い色素で、日焼けや、濃い色の髪や肌に関連
2. フェオメラニン(Pheomelanin)は、薄い赤みを帯びた色素
MC1R遺伝子の変異があると、メラノサイトはユーメラニンの生成を減らし、フェオメラニンの生成を増やす方向へとシフトする。そのため、学術誌『Photochemistry and Photobiology』に発表されたレビュー論文が指摘するように、「そばかす、赤毛、日光に敏感な色白の肌」といった特徴が、同じ人物に同時に現れたり、同じ家族内で受け継がれたりすることが多い。そばかすと赤毛は、たまたま同時に現れた別々の遺伝形質ではない。これらは、同じ色素経路の変異から派生した表現型なのだ。
なぜ均一な「日焼け」ではなく、斑点状の「そばかす」ができるのか?
これで、なぜ一部の人にそばかすの素質があるかは説明がつくが、均一な色調ではなく斑点状になる理由については、まだ説明がつかない。ここで物語の後半、つまり環境的なトリガーが必要になる。
紫外線にさらされると、メラノサイトが刺激を受けて色素の生成を活発化させ、大半の人においては、日焼けと呼ばれる、比較的均一に肌の色が濃くなる現象が生じる。一方、そばかすに関連するMC1R変異を持つ人では、メラノサイトの活動は一般的に、均一に広がるのではなくクラスター状(局所的)に集中すると考えられている。また多くの場合、毎年同じ小さな皮膚の領域に現れるため、肌色が均一に変化するのではなく、個別の斑点が生じる。
そばかすは、実質的に、もともと反応が不均一な色素系における局所的な過剰反応であり、これが、夏の日差しにさらされると特徴的に色が濃くなり、その刺激がなくなる冬は色が薄くなる理由でもある。



