リーダーシップ

2026.07.23 13:44

「楽しさ」を最も重んじた米大統領、セオドア・ルーズベルトに学ぶリーダーシップ

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セオドア・ルーズベルトは、ポトマック川で裸で泳ぎ、ペットとしてハイエナを飼い、ホワイトハウスでボクシングをし、1日に1ガロンのコーヒーを飲んでいた。「テディベア」は彼にちなんで名付けられ、マクスウェルハウスのコーヒー広告のキャッチコピー「最後の一滴までおいしい(Good to the last drop)」も彼の言葉である。彼の葬儀で、ニューヨーク市警の警部はこう語った。「彼が偉大な人物であっただけではない。彼に率いられることには、なんと楽しさがあったことか!」

Humor, Seriously: Why Humor is a Superpower at Work and in Life(ユーモアを本気で考える:なぜユーモアは仕事と人生のスーパーパワーなのか)の著者であるジェニファー・アーカーとナオミ・バグドナスは、楽しさとユーモアを取り入れるリーダーは、そうしないリーダーよりも、27%人を動機づける力が高いと報告している。「人が笑うと」とアーカーとバグドナスは述べる。「神経化学的な反応が起こり、脳内にホルモンがあふれ、より落ち着き、自信を持ち、機知に富み、創造的な状態になる」

楽しさは、職場文化がイノベーションを育むための肥料である。人は恐れを減らし、より大きな支援を受け、士気を高めて働くようになる。それは、より信頼されるリーダーを生み、リーダーが肩の力を抜き、周囲を明るくし、活気づける勝てる職場環境をもたらす。第26代米大統領(1901〜1909年)のセオドア・ルーズベルト・ジュニアは、楽しさをリーダーシップの重要な資質にした輝かしい例である。

テディとはどんな人物だったのか

ルーズベルトはアフリカで野生動物を狩り、博物学者として米国森林局の設立に尽力した。日露戦争終結の調停に成功しノーベル平和賞を受賞、サンフアン・ヒルの戦いでの英雄的行動により死後には名誉勲章も授与された。42歳で大統領に選出され、35冊の著書を残し、6か国語を自在に操った。

彼は大胆な喜びを運ぶ人物だった。アフリカ系アメリカ人を初めて招いた大統領で、ブッカー・T・ワシントンをホワイトハウスの晩餐に招待した。ユダヤ人を初めて閣僚に任命した大統領でもあった。飛行機に乗り、自動車を所有し、在任中に国外を旅した最初の大統領でもあった。さらに、柔道で茶帯を取得した初の米国人でもあった。では、この楽しみを愛したリーダーには、どのような特徴があったのか。

楽しいリーダーは平等主義者である

ニューヨーク市警察委員として、テディ・ルーズベルトは深夜の街を歩き、地位を問わずあらゆる市民と会話した。莫大な富と特権を持つこの男は、普通の人々とつながり、共感と理解を示すことを学んだ。ハーバード時代にボクサーとして磨いた傲慢さや戦闘的スタイルを捨て、謙虚さを示すだけの自信と、思いやりを示すだけの勇気を持っていた。

イノベーションには、上から力を振るうのではなく、共に力を発揮する平等な環境が必要である。イノベーションを率いるリーダーは、組織運営に全員を参加させることで包摂を促進する。人に対して強い好奇心を持つ。「役割らしさ」ではなく「本物らしさ」を実践し、常に誠実さを示す。時に厳しくても、常に親切である。仲間が法廷ではなく実験室で働いていると感じられるよう努める。だからこそ、他者の自尊心を損なうおそれのある行動や態度を決して許さない。

楽しいリーダーは徹底して公正である

ある不運な熊狩りが、ルーズベルトの人柄を示す出来事となった。ミシシッピ州知事に招かれた熊狩りで、案内人たちは彼にフォトジェニックな瞬間を提供しようとした。彼らは235ポンドの熊を追い詰め、木に縛りつけてルーズベルトに撃たせようとした。ルーズベルトはそれを拒み、スポーツマンシップに反すると主張した。彼は後にこう記している。「熊狩りで実に不本意な経験をした。親切なホストたちは善意から、狩りとピクニックの中間のようなものに仕立て上げようとしたが、こうした試みは常に狩りとしては失敗し、たいていピクニックとしても失敗するものだ」

公正な扱いは、イノベーションを支える文化に不可欠である。仲間たちが感情的に身構えずに済む職場で働けるとき、彼らは大胆な思考や遊び心のある実験にエネルギーを注ぐことができる。ルールが一貫して適用され、決定が実力のみに基づくと信じられるとき、彼らはずっと自由に振る舞えるようになる。

楽しいリーダーはペースをつくる

第一次世界大戦が始まると、すでに58歳だった元大統領ルーズベルトは、前線に戻りたくてたまらなかった。彼はウッドロウ・ウィルソン大統領に圧力をかけ、米西戦争で自ら率いたラフ・ライダーズのような20万人の志願兵部隊を率いてフランスへ行かせるよう求めた。部隊の資金と訓練を自ら負担するとまで申し出た。ウィルソンはこれを拒み、代わりにジョン・パーシング将軍を派遣した。この件は両大統領間の対立の大きな火種となり続けた。

イノベーションを率いるリーダーは、熱心な進歩の追求者であり、大胆な開拓者である。使命は真剣に受け止めるが、自分自身は真剣に受け取り過ぎない。ありのままの自分でいる勇気を持ち、イメージや地位に気を揉むことはない。健全な人間関係への強い忠誠を示し、自分よりも他者の功績に光を当てる。そして、仲間が賢いリスクを取って失敗したときには、非難ではなく学びを素早く後押しする。

楽しいリーダーは逆境の中でもユーモアを示す

1912年、革新党(ブル・ムース党)の候補として選挙運動を行っていたルーズベルトは、演説を始めた直後に暗殺者から銃撃を受けた。銃弾は折りたたまれた演説原稿と眼鏡ケースを貫通し、肺の手前で止まった。血を吐いていないと悟ったルーズベルトはこう宣言した。「皆さん、私は長い演説をするつもりでしたが、いま私の中には銃弾が入っています。ですから、それほど長い演説はできませんが、精一杯やってみます。ブル・ムース(雄のヘラジカ)を殺すには、これしきのものでは足りないのです」。そして彼はさらに84分間話し続けた。

アルベルト・アインシュタインは「創造性とは、楽しんでいる知性である」と語ったとされる。イノベーションを率いるリーダーは幸福の大使であり、風変わりなイベント、おかしな掲示、祝賀の機会によって物事を揺さぶることをいとわない。アイデアの相互受粉は、守られた秩序からではなく、支援的な混乱から生まれる。彼らは、創意工夫を励ます瞬間を探す。そして、たとえ仕事が真剣なものであっても、心からの大笑いを誰も免除されないようにする。

テレビ番組『ジ・オフィス』のマイケル・スコットというキャラクターは、それをうまく要約している。「時には、人に何かを教えようとばかりする上司でいることを休まなければならない。時には、ダンスのボスになるだけでいいのだ」

forbes.com 原文

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