ヒューマノイドロボットは、工場労働力の未来なのか?
投資家がヒューマノイド(人型)ロボットに何十億ドル(何千億円)もの資金を注ぎ込んでいるのは、誰もが目にしているとおりだ。筆者は現在、この分野のエコシステム全体で約3000億ドル(約48.6兆円)の投資を追跡している。そこには、14億ドル(約2282億円。1ドル=163円換算)を調達したばかりのNEURA Roboticsのほか、Figure、Apptronik、そして欧州で誕生したばかりのとあるユニコーン(評価額10億ドル[約1630億円]超の新興企業)が含まれる。
これらのロボットの多くは、AgiBot、UBtech、Unitreeといった中国大手メーカーの機体とともに、すでに工場で働いている。その大半は実証実験の段階だが、そうとは限らない例も出てきた。AgiBotの「G2」は実際の量産ラインで稼働しており、同社はその様子を最近ライブ配信した。
さらには、史上初の「ヒューマノイドロボットをめぐるストライキ」まで起きている。韓国の現代自動車(ヒョンデ)でのストライキで、その一因は、ヒューマノイドロボットに人間の仕事が奪われるのではないかという不安だった。
そこで大きな問いが浮かぶ。私たちが目にしているのは製造業の未来なのか。それとも、これもまた一過性のテックブームにすぎないのか。
先進オートメーション協会(A3)のトップは熱狂も否定もしない
この問いを、ジェフ・バーンスタインにぶつけてみた。バーンスタインは、米国の業界団体、先進オートメーション協会(A3)に40年以上在籍し、直近の19年は会長を務めてきた人物だ。世界初の産業用ロボットアームから、今日開発が進むAI駆動のマシンまで、業界の歩みをずっと見つめてきた。
バーンスタインは、手放しの礼賛派でも、全面的な否定派でもない。
「今はハイプサイクル(過剰な期待の局面)の真っただ中だと思います」とバーンスタインは語った。「一部の生産実績を除けば、まだ何も証明されていません。私の知る限り、米国で本番の生産工程に入っているヒューマノイドは、GXO Logisticsの施設で働くAgility Robotics製ロボットだけです」。
しかし彼は、イノベーションの驚異的なスピードも認識している。わずか数年で、ロボットは爪のようなハンドしか持たない段階から、卵を焼き、ワイヤーにテープを巻けるロボットハンドを備える段階へと進化した。
「AIがこの分野を非常に速いペースで変えつつあります」とバーンスタインは付け加える。「それは理解しています。ロボットの知能は、私の予想よりずっと早く、ずっと良くなるかもしれない。手先の器用さも、ずっと早く、ずっと良くなるかもしれません」。



