実証実験の効果は20%から50%にとどまる
工場のヒューマノイドロボットをめぐる動きの大半は、パイロットプロジェクト(試験導入)だ。しかもバーンスタインによれば、その達成度はせいぜい20〜50%にとどまっている。「それでは足りません。顧客がこうした技術を安心して導入するには、99.9…%という水準が必要なのです」。
(興味深いことに、英国のスタートアップHumanoidは、一部の手作業ですでに人間の約80%の速度を達成しており、100%超を目標に掲げている)。
要するに、メーカー側は、ロボットに2本の脚と顔が付いているかどうかなど気にしていない。車輪でも一向に構わないのだ。
「顧客から聞こえてくるのは『いいですか、我々が欲しいのはソリューションです。既存のロボットより、あるいはロボットを使わない場合より優れた解決策なら、それでいいのです』という声です」とバーンスタインは言う。「必要なのは、きちんと動くもの、信頼性が実証されたもの、手頃な価格のもの。それだけです」。
最大の関門は、知能でも器用さでもなく「安全性」
では、普及を阻む最大の関門は何か。知能でも器用さでもない──どちらも必要ではあるのだが。安全性だ。
ヒューマノイドロボットの安全規格はまだ存在しない。そして規格ができるまで、急成長はないとバーンスタインは見る。「保険会社は良い顔をしないでしょう。OSHA(米労働安全衛生局)も同じです」。現在稼働しているヒューマノイドロボットは、ほぼすべてがゲートやフェンスで人間から隔離されている。もしヒューマノイドが早い段階で1度でも事故を起こせば、市場全体が凍りつきかねない。
一方、従来型の産業用ロボット──大型で、高速で、特定用途向けに設計され、99.99…%級の精度を誇る機械──は、すでに膨大な仕事をこなしており、その役割は今後も拡大し続ける。ヒューマノイドも工場、倉庫、物流、農場、そして家庭に姿を現すだろう。だが、1万台のヒューマノイドが働く工場は、おそらく実現しないとバーンスタインはいう。一定数は導入される。問題は、それが何台になるかだ。


