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経済・社会

2026.08.06 16:15

米アンソロピック新モデルアクセス停止の衝撃 トランプ政権のAI規制と日本の課題

JUN LI - stock.adobe.com

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2026年6月12日、米商務省は米AI企業アンソロピック社に対し、フロンティアAIモデル(最先端AIモデル)である「Fable5」と「Mythos 5」の外国人へのアクセス提供に、新たに輸出規制を課すとの書簡を送付した。同社は両モデルのアクセス提供を停止したが、これは関係者に衝撃を与えた。米国のフロンティアAIモデル規制の動向を振り返り、今後を考えたい。

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25年1月13日、バイデン大統領退任直前の商務省は、「AI拡散規則」の暫定最終規則を公表した。国家安全保障上の観点から世界の国・地域を3つのグループに分け、高度なAI能力の輸出規制を包括的に行うものであった。商務省は、大規模演算処理でトレーニングされた非公開のモデルウェイトを新たに輸出規制の対象とする一方、米国や日本を含む19カ国・地域に本社(または最終親事業体の本社)を置く事業体の常勤正規従業員のアクセスは例外とした。

一方、25年5月、トランプ政権発足後の商務省は「AI拡散規則」の暫定最終規則を「米国のイノベーションを阻害し、企業に過度な規制負担を新たに課すもの」として撤回した。グループ別の複雑な規制が米AI企業のイノベーションや海外展開を阻害するとの声を踏まえたものと見られる。こうしたなか、今年4月にアンソロピック社が「Mythos Preview」を発表し、高度なサイバー脆弱性を発見する能力が明らかになると、トランプ大統領は、6月2日に「高度な人工知能(AI)のイノベーションとセキュリティの促進」の大統領令を発令した。

大統領令は、30日以内に米政府や重要インフラのサイバー防御をアップグレードすることを指示するとともに、60日以内に「対象フロンティアモデル」を特定する機密ベンチマークプロセスの策定や、官民による自主的な枠組みの構築などを関係機関に求めた。この枠組みは、AI企業が開発中のモデルが「対象フロンティアモデル」に該当するかを確認するほか、該当する場合、当該モデルを「信頼できるパートナー」に提供する最大30日前までに、米政府に事前アクセスを提供すること、さらに、早期アクセスを認める「信頼できるパートナー」を官民で選定すること等が定められている。

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なお、アンソロピック社は、今年4月に同社のセキュリティ要件を満たした企業・組織に対して「Mythos Preview」へのアクセスを提供する「プロジェクト・グラスウィング」と呼ばれる枠組みを発表している。同社によると、この枠組みには、6月2日発表時点で15カ国以上、200以上の企業・組織が参加している。アンソロピック社は、6月9日にMythos 5およびFable 5(Mythos5に不正操作防止のためのセーフガードを組み込んだ一般向けモデル)を発表したが、商務省は12日に輸出規制の書簡を送付したため、同社は両モデルのアクセスを停止した。この際、同社は、米政府がFable5のセーフガードを回避する手法を把握し、懸念しているとしたうえで、その脆弱性は軽微であると主張した。また公開の数週間前から米政府等とFableのセーフガード対策を実施してきたとしていた(注:その後、同社は30日に両モデルの「輸出規制が解除された」と発表した)。

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